河原 功 著
日本文学と中国文学の狭間にあった植民地時代の台湾文学とその運動を論じた表題作と佐藤春夫ら日本人作家と台湾の関係を扱った諸篇により、この時期の文学を多角的に考察する。
〈目次〉
Ⅰ 日本文学にみる台湾
佐藤春夫「殖民地の旅」の真相/中村地平の台湾体験―その作品と周辺/大鹿卓「野蛮人」の告発/日本文学に現われた霧社蜂起事件/霧社事件の語るもの
Ⅱ 台湾文学史
台湾新文学運動の展開
台湾文学史の時代区分
台湾新文学運動の歴史的背景
台湾新文学運動の抬頭期
新文学理論の紹介と白話文運動/新旧文学論争/プロレタリア文化運動と新文学運動
台湾新文学運動の自立上昇期
郷土文学論争/『南音』の創刊/日刊『台湾新民報』の学芸欄/台湾芸術研究会と『フォルモサ』/台湾文芸協会の成立と機関誌『先発部隊』『第一線』/台湾文芸連盟の成立と機関誌『台湾文芸』/『台湾新文学』の発刊/台湾人作家の島外活動
総括・新文学運動以後
Ⅲ 台湾と日本
三省堂と台湾―戦前期の台湾における日本書籍の流通
4・6判 314頁 1997年11月発行 ISBN4-87636-149-5
税込 / 送料別途
台湾の文学者たちが直面する困難さ・複雑さを克服し、台湾文学の火を絶やすことなく守りつづけている努力を直視し評価。そこから生まれる台湾の文学のおもしろさと豊かさを開示する。
〈目次〉
台湾文学のおもしろさ―序にかえて
台湾文学の歴史と個性
文学から見た八〇年代の台湾
陳映真
施明正
郷土文学論争(一九三〇~三二)について
台湾の日本語文学と台湾語文学
『許寿裳日記』をめぐって
四〇年代後半期台湾文学研究の資料と視角
戦後台湾の「国語」問題
近代文学形式の構図―政治小説の位置をめぐって
魯迅と斎藤野の人
あとがき
4・6判 302頁 2006年6月発行 ISBN4-87636-261-0
税込 / 送料別途