研文選書【120】~【129】

研文選書【120】中国民衆にとっての日中戦争ー飢え、社会改革、ナショナリズム

石島紀之著

日中戦争においては、終始、日本は加害の立場にあり、中国は被害の立場にあったのである。日中戦争のこの基本的性格について、読者のみなさんが本書によっ て理解を深めてくださることを願っている。・・・しかし中国は広大で、そこに住む人びとは多様であり、本書は日中戦争期の中国の民衆の一部分について書い たにすぎない。今後、研究が進展して、当該時期の中国の民衆の実相と心性についての全体像が描かれること、さらに中国近現代の基層社会についての研究が進 展することを期待している。(本書「あとがき」より)

 

第一部 飢えとの戦い

戦場とその隣接地域

浙江省―くりかえされる戦争の被害/河南省―大飢饉

日本占領地域・汪精衛政権支配地域―上海

上海戦の開始からアジア太平洋戦争勃発まで/アジア太平洋戦争勃発後

国民党政府統治区―重慶と成都

共産党支配下の抗日根拠地

民衆の負担の増加/自然災害との戦い

第二部 ナショナリズムと社会改革―太行根拠地の社会と民衆

村と農民/太行地区の土地問題

抗日根拠地の建設と民衆

抗日根拠地の建設/民衆運動の急進化とその是正

抗日根拠地の危機

百団大戦と日本軍の反撃/晋冀魯豫辺区の成立/日本軍の治安強化運動と根拠地の縮小

危機の克服と根拠地の拡大

一九四二年の民衆運動/民衆運動の新たな展開/一九四四年から四五年の民衆運動

4・6判 272頁 2014年7月発行 ISBN 978-4-87636-380-3

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研文選書【121】花 燃えんと欲す 続・杜甫詩話

後藤秋正著

 本 書に収録した文章は・・・すべて杜甫の詩語に関わるものなので、杜甫の「絶句」を扱った一文からとって、『花 燃えんと欲す―続・杜甫詩話』と題した。第 一部には杜甫の詩句について考えたことを、第二部には杜甫の詩語について考えたことを、第三部には特に李白の詩との関連を意識して考えた文章を収めてあ る。いずれもノートか覚書と称した方がふさわしいような雑文の集積で、内心忸怩たるものがあるが、杜甫の詩を読む際に何らかの手懸かりとなることがあれば 本望である。(本書「あとがき」より)

 

Ⅰ 杜甫の詩

杜甫の詩と「児童」

「花 燃えんと欲す」の系譜

「秋風落」考―杜甫「示姪佐」詩

Ⅱ 杜甫と詩語

「無地」考

「削跡〔迹〕」考

「頭風」考

Ⅲ 李白と杜甫の詩語

李白と杜甫の「独立」

李白と杜甫の「独坐」

4・6判 258頁 2014年9月発行 ISBN 978-4-87636-384-1

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研文選書【122】中国古典学のかたち

池田秀三著

私は大学院入学よりこのかた、変わらず漢代、中でも後漢の学 術・思想を主要な研究課題としてきた。・・・漢代の学術・思想研究の大方は文献考証に明け暮れするので、その作業の中でいつしか文献考証における「勘」の ごときものも幾ばくかは体得し、幸運にも、そのいくつかについて発表する場も与えていただいた。本書の前半は、そうした中国古典学一般に関わる書き物を編 んだものである。いま「体得した勘」と大仰なことを言ったが、実はそんな大したことではなく、また独創的なものでもない。一昔前の先学なら、みな身に具え ておられたことがらばかりである。ただ、古典学が衰滅の危機に瀕している現在、少しは古典学の存続に役立つかもしれぬとの思いから、刊行に踏み切ることと した。

本書の後半には、・・・京都大学中国哲学史研究室の先達の業績について記した論考を 集めた。・・・私には京都大学における中国哲学史研究の根幹は文献考証学にありとの思いがやはり強くあり、したがって私個人の内面では、前半と後半は一体 不可分であり、一部の書物としてまとまっていると、秘かに自負している。

書名を『中国古典 学のかたち』としたのは、私にとって「古典学」とは文献考証学にほかならないからであり、また「かたち」の語には、古典学においてはまず何よりも体例が重 要であるとの鄙見と、その「かたち」を通じて古典学の内実に興味を持っていただければとのささやかな希望も託している。(本書「あとがき」より)

 

中国古典における訓詁注釈の意義

訓詁の虚と実

輯佚の難と校讐の難

「序在書後」説の再検討

『潜夫論』版本小考―とくに元大徳本について

『国語』韋昭注への覚え書

京都大学における春秋学研究の伝統

小島祐馬評伝

小島祐馬著『中国思想史』『古代中国研究』

湯浅廉孫・幸孫二代の蔵書

4・6判 308頁 2014年11月発行 ISBN 978-4-87636-387-2

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研文選書【123】シナに魅せられた人々―シナ通列伝

相田 洋著

今ではすっかり死語となってしまったが、戦前、「シナ通」 (支那通)と呼ばれた人々がいた。シナの文化・風俗・芝居・料理・紅灯の巷等に魅せられた、チャイナ・フリーク(チャイナ中毒、チャイナ・オタク)の人々 である。・・・彼等はシナが好きでシナを趣味とし、生涯をその趣味に没頭した。戦前の軍国主義の嵐が吹きすさび、個性が抑圧された時代にあって、彼等の生 き方は、やはり稀有な存在といえよう。もちろん、これらシナ通たちの生き方は、「エロ・グロ」の道などで、権力と徹底的に戦い続けた、梅原北明や宮武外骨 等の壮絶な生き方と比べると、甘さは否めない。しかし、近代の日中関係史においては、そのマイナス面を含めて、これらシナ通の存在を無視することは出来な いだろう。むしろ日中交渉史などという枠を越えて、好きなことに全身全霊で打ち込んだ、彼等の生き方そのものが面白く、貴重だ。戦前には、こんな男たちが いたのである。(本書「はじめに」より)

 

一 タフで骨太な民間シナ学研究家・後藤朝太郎

シ ナ服・シナ帽で市中を歩き回る男/少壮気鋭の言語学者・後藤朝太郎/漢字教育者・後藤朝太郎/留学生寮舎監・後藤朝太郎/漢字批判から新「シナ学」へ/シ ナ趣味研究家・後藤朝太郎/『歓楽の支那』について/シナ問題研究家・後藤朝太郎/後藤朝太郎は、暗殺されたか?/読者のことなど

二 芥川龍之介を食傷させたシナ風物研究家・中野江漢

北京の風物狂・中野江漢/青雲の志を抱いて、シナに渡る/シナ風物研究家・中野江漢/風物研究から「シナ問題」研究へ/王道研究家・中野江漢/「暗黒シナ」の案内人・中野江漢

三 魯迅に嫌われたシナ民衆文化研究家・井上紅梅

シナ五大道楽の案内人・井上紅梅/謎の前半期からシナに渡るまで/『上海日々新聞』記者時代の井上紅梅/「支那風俗研究会」とその周辺の人々/南京時代の井上紅梅/蘇州から再び上海へ/帰国と晩年/未完のシナ民衆文化研究家・井上紅梅

四 芥川龍之介を驚嘆させた稀代の戯迷(京劇狂)・辻聴花

龍之介、その「怪声」に驚く/教育雑誌記者・辻聴花/辻聴花、シナに渡る/演劇記者・辻聴花/シナ芝居研究家・辻聴花/晩年の辻聴花

五 シナ怪異譚『聊斎志異』に魅せられた二人の聊斎癖・柴田天馬、平井雅尾

『聊斎志異』に魅せられた「聊斎癖」/「聊斎癖」以前の柴田天馬/柴田天馬、「聊斎癖」となる/天馬訳『聊斎志異』について/『聊斎志異』訳以外の柴田天馬の仕事/もう一人の「聊斎癖」・平井雅尾

4・6判 364頁 2014年11月発行 ISBN 978-4-87636-388-9

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研文選書【124】中国学の散歩道―独り読む中国学入門

加地伸行著

中国学の通り道

若者のことばの明日/『大学』の中の小学/訓読という教養の復権/白川静『字通』―壮大な漢文の世界

中国学―老いの細道

『恍惚の人』と『厭がらせの年齢』/論語の老人論/『論語』を訳して/自著を語る/沈黙の宗教―高野山での体験から

中国学の寄り道

必ず原典を見る/『詩経』からの引用/三つの孔子像/「墨子はインド人である」論争/『史記』一書 功は十表に在り/王陽明の改名

中国学の曲り道

諸葛孔明の人間観/忠臣蔵・山鹿素行・『孫子』/『孫子』の情報戦略

中国学の畦道

儒教と老荘と/老子と実像/『韓非子』―悪の論理

中国学の離れ道

春服/『論語』における食/歯と中国文化と/『周礼』における古代中国の医術者像/儒教とスポーツと/中国の風

中国学―易への近道

急行に乗ろう、急行に

中国学の横道―詩才なき者の独語

漢詩指導についての覚書/或る感動/詩作の横道

中国学の野道

中国学の過去・現在・未来

4・6判 318頁 2015年10月発行 ISBN 978-4-87636-401-5

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研文選書【125】中国古典学への招待―目録学入門

程千帆・徐有富著 向嶋成美・大橋賢一・樋口泰裕・渡邉大訳

学問の中で第一に緊要とされる目録学を系統的に整理して記述すると共に、その活用法を説いた名著『校讎広義』目録編の全訳。多くの訳注の他、目録学要籍解題・目録学年表・目録分類要覧・参考文献を新たに作成。中国古典を志す人の必携の書。

 

まえがき 訳者より

第一章 目録と目録学

目録とは何か/目録学とは何か

第二章 目録の構造とその機能

篇目/書目/書の叙録/書目の序

第三章 目録の著録事項

書名/篇巻/版本/真偽/存佚/著者

第四章 目録分類の沿革

『七略』から『隋書』経籍志まで/四部分類法の形成以後における内部調整/四部分類の規則を守らない分類法

第五章 総合目録

国家蔵書目録/史志/叢書目録/地方文献目録/私人蔵書目録/聯合目録

第六章 学科目録

経学書目録/史学書目録/諸子学書目録/文学書目録

第七章 特種目録

推薦書目録/禁書目録/販書目録/引用書目録/版本目録/個人著作目録/目録の目録

第八章 目録の編製

主題の選定とその範囲/著録と配列/別裁と互著/序列と索引

訳者あとがき

附録 目録学要籍解題/目録学年表/参考文献(『校讎広義』参考書目挙要・訳者参考文献)

目録分類要覧

書名索引/人名索引/事項索引

4・6判 544頁 2016年9月発行 ISBN 978-4-87636-409-1

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研文選書【126】「春望」の系譜ー続々・杜甫詩話

後藤秋正著

本書を三部に分けた。Ⅰには杜甫「春望」に関わる文章を、Ⅱには杜甫の詩を読み進める中で気づいた語と、動植物に視線を向けた詩に関わる文章を収め、Ⅲでは杜甫の「逸詩」「逸句」を扱った。Ⅲは初めての試みである。・・・拙著において、杜甫の詩の特質をどの程度明らかにできたか、まさしく一斑もて全豹を評するようなものだが、部分の解明が全体の解明につながってゆくことを信じながら、今後も杜甫の詩を読み続けたいと思う。(「あとがき」より)

 

Ⅰ 「春望」について

「春望」の系譜╱杜甫「春望」の頷聯について╱杜甫の詩における「山河」と「山川」、「江山」

Ⅱ 杜甫の詩と詩語

杜甫「旅夜書懐」の「星垂」はどのように読まれてきたのか╱「牛炙・牛肉」についての覚書ー杜甫「聶耒陽詩」╱杜甫の詩とサルー猿・狙など╱杜甫の詩とニワトリ╱杜甫の詩とタケノコー筍・笋

Ⅲ 杜甫の「逸詩」と「逸句」

杜甫の「逸詩」について╱杜甫の「逸句」について

あとがき╱初出一覧

4・6判 286頁 2017年5月発行 ISBN 978-4-87636-423-7

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研文選書【127】明清のおみくじと社会 関帝霊籤の全訳

小川陽一著

『関帝霊籤』(関羽のおみくじ)を、背景となった明清の社会における流行状況、歴史的経緯、形態体裁、思想内容などを紹介することで、当時の人々の心の有りようと暮らしぶりを解明する。

『関帝霊籤』全百籤(本)の現代語訳は日本初の全訳。

 

まえがき

前篇 『関帝霊籤』とその世界

第一章 関帝廟と『関帝霊籤』

関帝廟の繁栄╱『関帝霊籤』の人気╱『関帝霊籤』の流布

第二章 明清小説の中の『関帝霊籤』

明清の小説と『関帝霊籤』╱文言小説の場合╱白話小説の場合╱明清小説の中の『関帝霊籤』一覧表

第三章 『関帝霊籤』の歴史

霊籤各種╱明清小説の中の霊籤╱『関帝霊籤』の出現╱『江東王霊籤』から『関帝霊籤』へ╱非『江東王霊籤』系の『関帝霊籤』╱韓州聖済廟霊跡碑

第四章 『関帝霊籤』流行の背景

関帝神崇拝の高まり╱善書の流行╱民間学校の教科書に『覚世経』╱三国の抗争を描いた小説・講釈・戯曲・ことば遊びの流行

第五章 『関帝霊籤』の籤紙の体裁と内訳

『関帝霊籤』の引きかた╱『関帝霊籤』の籤紙の体裁╱籤詩と聖意の内訳╱籤詩と『易経』╱籤詩と善書╱『関帝霊籤』の聖意一覧表

第六章 『関帝霊籤』と明清社会

訴訟の風習と明清社会╱行人の辛苦と明清社会╱嗣子願望と明清社会

終章に代えて

後篇 『関帝霊籤』全百籤の訳文

凡例╱『関帝霊籤』の引き方╱主な資料・文献╱あとがき

4・6判 322頁 2017年9月発行 ISBN978-4-87636-425-1

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研文選書【128】唐詩の系譜ー名詩の本歌取り

                           矢嶋美都子著

  本書は、語句の意味解釈だけでは釈然としない表現のある唐詩(本歌取りをしている詩)の本歌を探す途中で出会った幾多の作品を系譜として整理してみたものです。この系譜から、まず本歌自体が過去の詩を見事に取り入れた名作であること、それを本歌取りした詩からは、当時の詩人たちが本歌の何処を評価し、そこにどのような工夫をして自分らしさを出しているのかよくわかります。……唐詩の名作、名詩に創造された重層的で複雑な世界、修辞の面白さを味わっていただければと願っています。

(本書「はじめに」より)

 

唐詩の系譜ー名詩の本歌取り 〈目次〉

 はじめに

 一 初唐・張九齢の「照鏡見白髪」詩を本歌とする詩

   ー官僚人生の哀歓を詠う詩の系譜

 二 初唐・張九齢の「秋夕望月」詩を本歌とする詩

   ー恋しい人を待つ庭に「青苔」「黄葉」がある情景の系譜

 三 盛唐・王維の「送元二使安西」詩を本歌とする詩

   ー特に親しい友人との別れを惜しむ詩の系譜

 四 盛唐・王維の「九月九日憶山東兄弟」詩を本歌とする詩

   ー「屈折した望郷表現」の系譜

 五 盛唐・王昌齢の「芙蓉楼送辛漸」詩を本歌とする詩の系譜

   ー旅立つ人に伝言を託す構想の送別詩

 六 盛唐・岑参の「磧中作」詩を本歌とする詩の系譜

   ―旅の困難さを砂漠の旅に見立てて詠う詩

 七 盛唐・崔顥の「黄鶴楼」詩を本歌とする詩

   ―名勝の懐古から郷愁を呼び起こす構想の系譜

 八 中唐・元稹の「行宮」詩を本歌とする詩の系譜

   ―玄宗の栄華を懐古する詩

 九 盛唐・李白の「清平調子」其三を本歌とする詩の系譜

   ―美しい楊貴妃が「闌干に倚る」構図の本歌取り

 十 雁に託す望郷表現の系譜

   ―初唐の詩人が開発した南の地で詠った雁の詩

 十一 日本漢詩にみる唐詩の受容(本歌取り?)

 あとがき

 

  四六判 232頁 2018年9月発行 ISBN978-4-87636-439-8

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研文選書【129】  書と画を論じる

 

                           松村茂樹著

 

 文人が作ってきた書と画を論じることで、中国文化の本質的理解を志向し、日本人における

受容から日中文人のネットワークを考察。図版多数駆使して分かりやすく解説。

 

 書と画を論じる 目 次

 

 はじめに

 Ⅰ 王羲之書法とは何か?

  漢字のはじまりと正鋒/太宗と王羲之書法/書論に見る「十七帖」/帖学派の書法

 Ⅱ 文人の思い入れ

  清代条幅の款書を読む/何紹基の隷書―その飄逸さの本質/今井凌雪先生蔵 呉昌碩「臨石鼓文・水墨花卉 六曲一双屏風」

 Ⅲ 中国文人画を読む

  呉昌碩「大寿桃図」/溥儒「人馬図」/王一亭「自画像」/趙之謙「鍾馗像」/黄賓虹「雲壑奔泉図」/任伯年「隔簾仕女図」

 Ⅳ 日本における受容

  中林梧竹の臨書論/呉昌碩が日本にもたらしたもの―河井荃廬・長尾雨山を介しての伝播/

書画文墨趣味のネットワーク

 あとがき/初出一覧

 

    四六判 209ページ 2019年10月刊 ISBN978-4-87636-448-0

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