芸術

書と画を論じる   研文選書【129】

                                                                                      松村茂樹著

 

 文人が作ってきた書と画を論じることで、中国文化の本質的理解を志向し、日本における受容から日中文人のネットワークを考察。図版多数駆使して分かりやすく解説。

 

 書と画を論じる 目 次

 

 はじめに

 Ⅰ 王羲之書法とは何か?

  漢字のはじまりと正鋒/太宗と王羲之書法/書論に見る「十七帖」/帖学派の書法

 Ⅱ 文人の思い入れ

  清代条幅の款書を読む/何紹基の隷書―その飄逸さの本質/今井凌雪先生蔵 呉昌碩「臨石鼓文・水墨花卉 六曲一双屏風」

 Ⅲ 中国文人画を読む

  呉昌碩「大寿桃図」/溥儒「人馬図」/王一亭「自画像」/趙之謙「鍾馗像」/黄賓虹「雲壑奔泉図」/任伯年「隔簾仕女図」

 Ⅳ 日本における受容

  中林梧竹の臨書論/呉昌碩が日本にもたらしたもの―河井荃廬・長尾雨山を介しての伝播/

書画文墨趣味のネットワーク

 あとがき/初出一覧

 

    四六判 209ページ 2019年10月刊 ISBN978-4-87636-448-0

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呉昌碩研究

松村 茂樹 著

呉昌碩は、詩書画印四絶をもって「中国最後の文人」と称せられる。だが、清末民初の転換期に、国際経済都市の上海で、「文人」の書画を「職業書画家」として鬻いだ呉昌碩は、書画を趣味とし、売ることを前提にしない旧来の文人の枠を越えた存在であった。こういった「文人職業書画家」として、呉昌碩は、海上派と呼ばれる書画壇の領袖となり、日本人士を含む多くの交流を有した。呉昌碩個人の位置分析に加え、この交流を探求することにより、「文人」と「職業書画家」という矛盾する側面を併せ持つ呉昌碩の二面性、そして、これによってもたらされる苦悩と葛藤を明らかにしたい。(本書「序」より)

〈目次〉
第一編 呉昌碩の位置 

呉昌碩の位置―文人職業書画家として

職業書画家存在の背景とその定義/潤格およびその提示の意義/呉昌碩の職業書画家宣言と経済的成功/呉昌碩七十歳以降の書画売買ルート/呉昌碩晩年の売字・売画意識/呉昌碩にとっての売字と売画の相違/呉昌碩の代作人/代作の意義と実態/呉昌碩門下の形成と弟子の独立

呉昌碩の潤格

潤格の利点と問題点/潤格に働く市場原理/呉昌碩が自分のために定めた潤格/呉昌碩が友人のために定めた潤格/呉昌碩が弟子のために定めた潤格

呉昌碩の画譜

呉昌碩在世当時の図録/重宝される石印版/木刻版の受け皿/サンプルからテキストへ/現在に生きる石印版テキスト/海上派の問題点

呉昌碩の石鼓文臨書

阮刻石鼓文臨書の理由/学者としての石鼓文臨書/祖師への絶対的信頼/書法家としての側面/学者から見た書法家

呉昌碩の石鼓文論

「近拓」と「明拓」/自歳および目睹の「旧拓」/先輩書法家への視点

第二編 呉昌碩と友人弟子

呉昌碩と王一亭

王一亭の生涯/出会いと入門/入門の背景と理由/緊密なる交誼の意義/呉昌碩没後の心情

呉昌碩と趙子雲

趙子雲の生涯/職業画家としての先見性/師弟関係の矛盾/代作と独創性/文人派と工人派/呉昌碩への敬慕

呉昌碩と鄭孝胥

出会いまで/深まる交友/別れと呉昌碩没後

呉昌碩と周夢坡

出会いとその背景/周夢坡の財力/遺民意識の共有/宋梅亭と宋梅図/晩年の胸臆

第三編 呉昌碩と日本人士

呉昌碩と日下部鳴鶴

鳴鶴の呉昌碩訪問/終生の交流

呉昌碩と河井荃廬

呉昌碩に入門する/破格の厚情/師の胸中

呉昌碩と長尾雨山

近隣関係となる/上海で雨山に与えた詩文書画/帰国後の雨山を想う書簡/尽きせぬ交情

呉昌碩と白石六三郎

白石六三郎と六三亭、六三花園/呉昌碩と六三園での個展/呉昌碩にとっての六三園/呉昌碩の白石六三郎への思い/呉昌碩没後の白石六三郎

呉昌碩と大谷是空

大谷是空と『滬上唱酬』/詩文に見える交流/相通ずる胸中

呉昌碩と田口米舫

田口米舫について/呉昌碩への依頼/呉昌碩への言及と呉昌碩よりの詩/呉昌碩図録の刊行

呉昌碩と大倉喜七郎

大倉喜七郎の略歴と呉昌碩との交誼/大倉喜七郎嘱呉昌碩刻印に見る代刻と真刻

呉昌碩と夏目漱石

『漱石全集』の装幀/呉昌碩臨石鼓文/第五回健筆会展観会/長尾雨山の役割

呉昌碩と高島屋

高島屋美術部/高島屋美術部の呉昌碩展覧会と図録

結/参考文献/あとがき/索引

A5判 424頁 2009年2月発行 ISBN978-4-87636-296-7

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近代中国の文化人と書 【研文選書79】

松村 茂樹 著

近代の中国は、個性的で魅力的な人物を輩出している。清朝崩壊、軍閥割拠、国共内戦、そして文化大革命と、動乱の波がつぎつぎと押し寄せる中、時代は新しいシステム構築とそれを担う、創造力と挑戦力に富んだ人材を絶えず求めていたからである。そんな時代の申し子とも言うべき彼らが、近代中国の文化を形成し、自らも文化人として活躍した。本書は、そんな近代中国の文化人を30人とりあげ、その書、つまり彼らの筆跡を手がかりとして、それぞれの人物のある一側面にスポットをあてようとするものである。(本書「はじめに」より)

 

Ⅰ 思想家・政治家

秋漌/章炳麟/蔡元培/弘一/胡適/周恩来/毛沢東/王雲五/廖承志

Ⅱ 文学者・史学者

魯迅/郁達夫/柳亜子/鄭振鐸/張元済/老舎/傳雷/郭沫若/王力/鄭逸梅

Ⅲ 芸術家

王一亭/丁仁/余紹宋/徐悲鴻/趙子雲/梅蘭芳/溥儒/沈尹黙/張大千/沙孟海/劉海粟

4・6判 296頁 2000年6月発行 ISBN978-4-87636-187-8

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近代碑学の書論史的研究

菅野智明 著

碑学の理論、とりわけ近代北碑をめぐる理論の史的展開に着目。阮元説以降の主要北碑について、書論単位に検討を加え、各説の流れを跡付け、更に種々の北碑論の主要な争点・議論の経緯を考究。

〈目次〉

第一部 主要北碑論にみる阮元・包世臣説の展開

第一章

起点としての阮元・包世臣説

第二章

沈曾植の北碑論

第三章

康有為『広芸舟双楫』の北碑論

第四章

陶濬宣『稷山論書絶句』の北碑論

第五章

梁啓超の北碑論

第二部 近代北碑論の諸争点

第六章

北碑評価の類型

第七章

北碑の貶斥

第八章

南北書派説の是非

第九章

方円論・書体史論の視点

第十章

近代北碑論から蘭亭論弁へ

A5判 688頁 2011年2月発行 ISBN978-4-87636-318-6

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書学叢考

杉村 邦彦 著

書が言語(文字)と形象をふたつながら踏まえ、両者の兼ね合いの上に成り立つ、人間にとってもっとも総合的な表現分野、とする著者の書(学)をめぐる二十三論考を収録。

〈目次〉

序説 中国書法史研求法概述
中国書法史研究 

王羲之と嵆康/唐鈔本世説新書/唐鈔本王勃集/米芾の人間像とその交友関係/許友の生涯と書法/馮班と『鈍吟書要』/『張廉卿先生論学手札』解題
近代日中書法交流史研究 

近代日中書法交流史概観/多胡碑の朝鮮・中国への流伝/多胡碑の朝鮮への流伝に関する新資料/日本近代書法の原点としての 潘存/楊守敬と松田雪柯・巌谷一六・日下部鳴鶴との交流―『松田雪柯東都日記』を中心として/楊守敬撰書の「秦蒙将軍之象碑」をめぐって/楊守敬の帰国―岡千仞撰著『観光紀游』を基にして/羅振玉の日本における研究生活とその 交友関係
先師・先学 

内藤湖南の『玉石雑陳』から昭和六年の御進講並びに記念揮毫に説き及ぶ/東洋文化史研究の偉業―『神田喜一郎全集』・『中田勇次郎著作集』の刊行に寄せて/中田勇次郎先生の生涯と業績/米田彌太郎著『近世日本書道史論攷』刊行に寄せて/米田彌太郎著『近世書人の表現と精神―続近世日本書道史論攷』書評/陳振濂著『日本書法通鑑』序/祁小春著『中国古籍の板刻書法』序

書後―初出一覧/索引

A5判 544頁 2009年4月発行 ISBN978-4-87636-298-1

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張廉卿の書法と碑学

魚住 和晃 著

第一章 張裕釗―その人間性と書法

張裕釗の人間性

前期の張裕釗/後期の張裕釗/もうひとつの張裕釗/張家と張裕釗

張裕釗の書法

張裕釗の書論/『広芸舟双楫』における張裕釗論/賀濤の張裕釗論/曾国藩の文学と書法観/張裕釗の金石観/張裕釗書法の文学と一貫性/張裕釗の人間性と書との相関

第二章 張裕釗における書法形成

中鋒/撥鐙法/張裕釗書法の特質と形成過程/張裕釗書丹碑碣の異体字/張裕釗の臨書作品

第三章 張裕釗の流転について

三つの張裕釗伝記(『清史稿』文苑・張裕釗伝)/『碑伝集補』所収・張裕釗伝 夏寅官線/「哀啓」)/鳳池書院主講/蓮池書院の退任/重修南官県学記/江漢書院の退任/張裕釗書厳維詩/襄陽行と鹿門書院/養浩堂詩集序/宮島大八の再訪と師生同住

A5判 328頁 2002年6月発行 ISBN978-4-87636-211-0

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中国抗日戦争時期 新興版画史の研究

瀧本弘之・奈良和夫・鎌田 出・三山 陵 著

新興版画が、新中国の美術の骨幹となる道筋を、史資料の忠実な読み込みによって、詳しく描き出す。掲載図版は四百点。新たに採録された作品の数々の描写には、抗戦下の民国期社会の複雑な様相が雄弁に反映されており、新興版画が学際性に富む媒体であることを物語っている。
新興版画研究に新たな視界を展げ、学際分野への学問的な刺激を与え、貢献する研究。

B5判上製 720頁 カラー8頁 2007年8月発行 ISBN978-4-87636-272-1

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魯迅書簡と詩箋

阿部 幸夫 著

魯迅が書簡をしたためた詩箋は単なる用箋を越えた魯迅その人の生き方・文学と芸術的感性の象徴であった。『北平箋譜』『十竹斎箋譜』はもとより、詩箋と書簡という斬新な視角から描く魯迅論。
口絵はカラーで詩箋の美しさを伝える。

 

魯迅書簡の箋紙―序に代えて 王得后

箋紙と「師曾、茫父の時代」

古書店主もしくは箋紙店のおやじ/槐堂と俟堂/専墨館主人のことなど

『両地書』〈第三集〉のころの花紙、箋紙

あなたの「小白象」/花箋にのせて/女侠―摸渭長本/『北平箋譜』への模索

『北平箋譜』と魯迅書簡

西諦へ―合作の呼びかけ/書簡譜から詩箋へ/鄭振鐸の〈箋紙を訪ねて〉/『北平箋譜』と『北京箋譜』/詩箋在上海/魯迅使い残しの箋紙

芭蕾舞箋、温庭筠詩題箋 その他

バレリーナ箋/夏暦元月/ロシアの匂い/温庭筠詩題箋

芥子園蘭花箋のこと、澄心堂箋のこと

戦士の休息、そして再思/花を愛で花を惜しみ/芥子園蘭花箋/十竹斎と澄心堂

〔別表〕魯迅原信に見る詩箋、書簡箋目録

A5判 276頁 2002年1月発行 ISBN978-4-87636-204-2

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魯迅と木刻

内山嘉吉・奈良和夫 著

近代美術の生みの親でもある魯迅が、晩年精力を傾注し、革命のため、その力を駆使した木刻活動の出発と軌跡を描いた世界初の研究書。内山の回想を主としたⅠ部と魯迅の木刻活動を概観するⅡ部とで構成。

336頁(口絵16頁) 1981年6月発行

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楽人の都・上海―近代中国における西洋音楽の受容 【研文選書76】

榎本泰子著

≪99年度サントリー学芸賞・第4回日本比較文学会受賞≫

本論の中心となるのは、一九二七年に上海に創立された中国初の音楽学校、国立音楽院(現在の上海音楽学院)と、それをめぐる人々である。・・・辛亥革命から五四期、そして動乱の三〇年代へと大きく揺れ動いた中国が、西洋音楽という異文化をどのように受けとめたのか、これは単に音楽史の問題であるのみならず、近代中国にとって西洋文化とは何だったのかを考察する手がかりとなる。(本書「はじめに」より)

 

第一章 西洋音楽の伝来と普及

キリスト教が運んだ音楽/日本留学熱と学堂楽歌

第二章 新文化運動の流れの中で

蔡元培の美育思想/時代の申し子・蕭友梅/北京大学附属音楽伝習所

第三章 楽人の都・上海

租界の音楽文化/国立音楽院の誕生/創作歌曲をめぐって(蕭友梅/趙元任/青主/黄自)

第四章 国楽はどこへ

中西音楽家の交流/グランド・チャイニーズ・イヴニング/左翼音楽家の登場/混迷する音専

終章 中国音楽史における一九三〇年代の意味

4・6判 320頁 1998年9月発行 ISBN978-4-87636-157-1

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