中国文学【明清】
川島優子著
本書は、『金瓶梅』の構想と、その日本での受容について、明らかにしようとしたものである。
書名が物語るように、『金瓶梅』における女性描写は、作品の本質に関わる問題である。またその大きな特徴が「詳細な描写」にあることは、序章で述べたとおりである。第一部では『金瓶梅』の構想について、主に女性の描かれ方に注目し、繰り返される詳細な描写を検討していくことで迫ろうと試みた。……他の三作品(『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』)とは異なり、『金瓶梅』が日本の文化や文学に大きな影響を与えることはなかった。そしてそれは、『金瓶梅』が「淫書」であったためだと考えられてきた。直接的な資料が少なすぎることもあり、詳しいことがよくわからなかったのである。そこで第二部では、江戸時代にやってきた『金瓶梅』が日本人にどう読まれたのかという問題について、これまでに扱われることのなかった資料も用いることで、全面的な考察を試みた。
(本書「終章」より)
『金瓶梅』の構想とその受容 〈目 次〉
序 章
第一部 『金瓶梅』の構想
第一章 『金瓶梅』の構想―『水滸伝』からの誕生ー
第二章 潘金蓮論ー歪みゆく性に見る内なる叫びー
第三章 呉月娘論ー罵語を中心としてー
第四章 孟玉楼と呉月娘ー『金瓶梅』の服飾描写ー
第五章 李瓶児論
第六章 『金瓶梅』の発想
ー容与堂刊『李卓吾先生批評忠義水滸伝』
の評語を手がかりにー
第二部 江戸時代の『金瓶梅』
第七章 江戸時代における『金瓶梅』の受容
第八章 白話小説の読まれ方
ー鹿児島大学附属図書館玉里文庫蔵「金瓶梅」
を中心としてー
第九章 「資料」としての『金瓶梅』ー高階正巽の読みを通してー
終 章/あとがき/索 引
A5判上製 317頁 2019年2月刊 ISBN978-4-87636-443-5
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小川陽一著
『関帝霊籤』(関羽のおみくじ)を、背景となった明清の社会における流行状況、歴史的経緯、形態体裁、思想内容などを紹介することで、当時の人々の心の有りようと暮らしぶりを解明する。
『関帝霊籤』全百籤(本)の現代語訳は日本初の全訳。
まえがき
前篇 『関帝霊籤』とその世界
第一章 関帝廟と『関帝霊籤』
関帝廟の繁栄╱『関帝霊籤』の人気╱『関帝霊籤』の流布
第二章 明清小説の中の『関帝霊籤』
明清の小説と『関帝霊籤』╱文言小説の場合╱白話小説の場合╱明清小説の中の『関帝霊籤』一覧表
第三章 『関帝霊籤』の歴史
霊籤各種╱明清小説の中の霊籤╱『関帝霊籤』の出現╱『江東王霊籤』から『関帝霊籤』へ╱非『江東王霊籤』系の『関帝霊籤』╱韓州聖済廟霊跡碑
第四章 『関帝霊籤』流行の背景
関帝神崇拝の高まり╱善書の流行╱民間学校の教科書に『覚世経』╱三国の抗争を描いた小説・講釈・戯曲・ことば遊びの流行
第五章 『関帝霊籤』の籤紙の体裁と内訳
『関帝霊籤』の引きかた╱『関帝霊籤』の籤紙の体裁╱籤詩と聖意の内訳╱籤詩と『易経』╱籤詩と善書╱『関帝霊籤』の聖意一覧表
第六章 『関帝霊籤』と明清社会
訴訟の風習と明清社会╱行人の辛苦と明清社会╱嗣子願望と明清社会
終章に代えて
後篇 『関帝霊籤』全百籤の訳文
凡例╱『関帝霊籤』の引き方╱主な資料・文献╱あとがき
4・6判 322頁 2017年9月発行 ISBN978-4-87636-425-1
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中野 清著
六朝の志怪と唐宋の伝奇の流れを汲む袁枚が記した『子不語』を中心に据え、中国文言小説について縦横に論じる。
はしがき
序論 文言小説の流れ―六朝の志怪と唐宋の伝奇
第一部 「鬼求代説話」の研究
袁枚『子不語』の鬼求代説話の筆法―紀昀の批判から/『子不語』『柳如是為厲』に関して―紀昀への批判/『子不語』の『鬼求代妨害説話』―「撃退する」と「論破する」/『子不語』の鬼求代説話の顛末―鬼が鬼を逐う
第二部 「僵尸説話」研究
『子不語』の僵尸説話の創作性/『子不語』僵尸説話の加工/『子不語』の僵尸説話―旱魃との関連について/『続新斎諧』の僵尸説話/『子不語』の僵尸説話―補遺及び結語
第三部 『子不語』の版本研究等
袁枚『子不語』の増補/『子不語』の妬鬼説話/木下杢太郎譚の『子不語』
第四部 古小説研究
「城門失火して、わざわいは池の魚に及ぶ」―成語の成立過程/「黒龍」から「烏龍」へ―六朝志怪の演変
あとがき/初出一覧/索引
A5判 322頁 2016年10月発行 ISBN978-4-87636-413-8
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小松建男著
鶯鶯伝、情史、三国志演義などを素材に、中国近世に小説の本文がどのように伝承され、また改編されたかを新たな視点から分析する。
第一章 「小説」が書物となるまで―中国近世における「小説」という語の意味
第二章 文言小説の伝承
『侯鯖録』所収「鶯鶯伝」の本文について/『類説』所収「鶯鶯伝」本文について/明代の「鶯鶯」本文
第三章 文言小説集における改作と編集
『情史』と馮夢竜の他の作品集/『情史』と先行する作品集/『情史』と『艶異編』
第四章 口語短編小説の創作方法
「封陟」の改作―『太平広記』から『酔翁談録』へ/「負心」の重さ/「范鰍児双鏡重円」の創作方法
第五章 口語長編小説の創作方法
嘉靖本以前の『三国志演義』の姿/『三国志演義』の生成/『三国志演義』における呼称の不統一/『三国志演義』と史書/陳宮と曹操
A5判 356頁 2010年1月発行 ISBN978-4-87636-307-0
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小川陽一著
明清時代以降、肖像画が大衆化し、小説・戯曲が流行した。その肖像画を題材・モチーフとした文学作品や肖像画なしでは成立しがたい作品を取り上げ、構築されたその特異な文学世界を読み解く。
序章 中国の肖像画文学の源流
王昭君物語/真真物語/肖像画と美人画
第一章 中国文学と肖像画
李瓶児の肖像画/肖像画と中国文学/肖像画を表す中国語/肖像画の特色/肖像画の歴史/民間の肖像画/似顔絵
第二章 肖像画の小説 その一
肖像画の小説は短編/肖像画の戯曲は長編/幻想の世界/兪蛟蛟と『夢厂雑著』/「閔孝子伝」/その後の閔孝子/閔貞と「閔孝子伝」/杜濬の嘆き/「追容の法」
第三章 『追容像譜』―「追容の法」のマニュアル
『追容像譜』/肖像画の即製品/『追容像譜』のなかの顔/高齢者が多い/顔見本集/肖像画には暇と金がかかる/暇と金がかかっても/貧乏人には容易でない/『追容像譜』の用途
第四章 肖像画の小説 その二
曽七如『小豆棚』/「黄玉山」/みな絶世の美女/怪奇性と幻想性/「黄玉山」の世界/先行作品/『諧謔』のなかの非非/「黄玉山」の怪奇性
第五章 肖像画の戯曲 その頂点一
「漢宮秋」雑劇/顔を損なう/「梧桐雨」雑劇/王昭君戯曲と人相術/肖像画と人相術
第六章 肖像画の戯曲 その頂点二
『牡丹亭』伝奇/『画中人』伝奇
第七章 肖像画の戯曲 その多様性
「両世姻縁」雑劇/南戯『琵琶記』/『燕子箋』伝奇/『療妬羹』伝奇/十不画/『玉掻頭』伝奇
第八章 肖像画の笑話
形似と神似/肖像画の不思議/肖像画の笑話/似ていない/似ていない肖像画の利用法/恐妻家文学/死んだ妻でも怖い/肖像画はその人に準ずる/けちな客/肖像画と春画
第九章 像賛と題像詩
像賛と題像詩/楊士起の像賛/李漁の像賛/葉紹袁の題像詩/施紹袁の題像詩/施紹莘の題像詩/馮惟敏の題像詩
第十章 明清社会と肖像画 肖像画文学の背景
祭祀と肖像画/人物像伝の流行/『清代学者象伝』/張岱「於越三不朽図序」/小説戯曲の挿絵の流行/尤侗の『年譜図詩』『小影図賛』/優雅な遊び/下品な遊び/子どもの肖像は描かない/肖像画のなかの遺言状/魯迅の末弟の肖像画
4・6判 200頁 2005年3月発行 ISBN4-87636-247-5
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澤田 瑞穂 著
宋代から清末までの俗語体小説についての論稿十九篇を収め好評を博した旧著の選書版。「随筆金瓶梅」「西遊演義枝譚」をはじめ公案(裁判)小説、「小説娯目鈔」などに著書の蘊蓄がかたむけられる。
〈目次〉
発跡変泰
紅蓮柳翠
「四帝仁宗有道君」―明代説昌詞話の開場慣用句について
索・刀・薬―『前前太平記』の一挿話と明代公案小説
宝蓮寺奸僧事件
芙蓉屏異伝
張一飛公案その他
公案綺聞鈔
擬装入水殺人事件/雷公殺人事件/六本指の男/勘釘余響/姦夫が姦婦を殺す話/訟師の悪智慧/感孕奇案/烈女切腹異聞/犯姦婦杖刑の事/戸板流しの私刑/強姦か和姦か
玉堂春散策
砒霜の禁
『金瓶梅』の研究と資料
随筆金瓶梅
西門家伝説/潘金蓮の眸/張竹坡の「読法」/満文金瓶梅/金瓶梅伝奇/俗曲中の潘金蓮/明治訳金瓶梅/明治の西門慶/葡萄棚の下で
西遊演義枝譚
道書と見られた西遊記/唐僧取経嘆拾声/西遊記の草双紙/唐三蔵の杖
小説娯目鈔
宜春香質/警世選言/哈密野史/帰蓮夢/驚夢啼/幻中真/鴛鴦配/療妬縁/永慶昇平/忠孝勇烈木蘭伝
清末の小説
遊戯―清末小説管見
地獄の報告書―李伯元作『活地獄』のこと
清末文学一隅
蒋剣人撰ジャンヌ・ダルク伝/梁啓超の羅蘭夫人伝/三害問題と小説/日露交戦と時事歌謡
清末の「新名詞」論議
小説瑣話―解説にかえて(堀誠)
4・6判 370頁 1996年7月選書版発行 ISBN4-87636-137-1
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太田 辰夫 著
孫悟空は千変万化するが、西遊記も千年かかって変化・成長した。敦煌石窟出土の資料をはじめ多数の学界未知ないしは未研究の資料により、その成立過程を時代別・資料別に明らかにした西遊記研究の白眉。
〈目次〉
西遊物語の発生
『大唐三蔵取経詩話』考
南宋華南の西遊物語
『朴通事諺解』所引西遊記考
『朴通事諺解』と『銷釈真空宝巻』
戯曲西遊記考
『目連救母勧善戯文』所引西遊記考
『永楽大典』本西遊記考
『玄奘三蔵渡天由来縁起』と西遊記の一古本
『唐三蔵出身全伝』(楊本)考
『唐三蔵西遊伝』(朱本)考
世徳堂本西遊記(世本)考
魯府本西遊記と『西遊釈厄伝』
明刊本西遊記考
A5判 304頁 1984年6月発行 ISBN4-87636-044-8
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中嶋 隆藏 著
日本人的な「文人」観とはことなる中国歴代の人びとが描き出してきた「文人」像について、時代をおって実際の資料を広く探り、その諸相と変遷の実態を解析し、現代における「文人」の意味を考える。
〈目次〉
漢魏時代の文人像―王充と曹丕
王充が描く「文人」像/曹丕が描く「文人」像
六朝時代における文人像―葛洪、劉勰、顔之推と姚察
葛洪の『抱朴子』に見える「文人」/六朝後半の「文人」像
唐宋時代の「文人」像―白居易、司空図、蘇軾と陸游
唐代の「文人」像/宋代の「文人」像
明代後期の「文人」批評―胡応麟と顧炎武
“文人層”出現の時代/胡応麟の「文人」批評/顧炎武の「文人」批評
清代中期の「文人」批評―章学誠と趙翼
章学誠の「文人」批評/趙翼の「文人」批評
辛亥革命直前の文人像―周作人と高鳳謙
周作人の「論文章之意義曁其使命因及中国近時論文之失」/高鳳謙の「論偏重文字之害」
民国成立期の文人像―李大釗、胡適、林吾堂、蒋廷黻、瞿秋白と銭鍾書
李大釗の「厭世心与自覚心」と胡適の「文学改良芻議」/林吾堂の「做文与做人」/蒋廷黻の「知識階級与政治」、瞿秋白の「文人」、銭鍾書の「論文人」
4・6判 220頁 2006年2月発行 ISBN4-87636-257-2
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佐藤 一郎 著
清朝初期から文化全体の革新運動である文学革命を迎える迄に、伝統を踏まえ、なにが準備されていたかを桐城派の学統を主軸に据えて解明した清朝文化史。
<目次>
第一部 伝統と近代化への道
第一章 明末清初より雍正まで/第二章 乾隆の盛世/第三章 難局からの再生
第二部 中華と文字の獄
満人の中国支配/異文化接触と華夷の問題/多民族国家としての中国/日本における考証学研究と桐城派 ほか
A5判 240頁 2003年3月発行 ISBN978-4-87636-216-5
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近藤光男著
第一編
『国朝漢学師承記』と江藩
清朝漢学のかたち/『漢学師承記』の文章/汪中と「国史儒林伝稿」
四庫全書と紀昀
紀昀の学問/『花閒集』の提要をめぐって/詩注の難きこと
第二編
惠棟
呉郡惠氏三代の文学/惠棟の『漁洋山人精華録訓纂』について
銭大昕
惠棟と銭大昕/銭大昕の文学/潜研堂詩注「木綿花歌」
戴震
清朝経師における科学意識/戴震の『考工記図』について/『屈原賦注』について/戴震の経学
段玉裁
段玉裁の学問
王念孫
王念孫の学問/清朝経学と緯書
阮元
阮元の文選学/学海堂弟子「梁昭明太子文選序注」について/阮元 その人その学
附篇
惠棟/銭大昕/戴震/顧炎武/乾嘉の学/呉派/皖派
A5判函入 498頁 1987年7月発行 ISBN4-87636-076-6
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