中国史【戦時期】
石島紀之著
日中戦争においては、終始、日本は加害の立場にあり、中国は被害の立場にあったのである。日中戦争のこの基本的性格について、読者のみなさんが本書によって 理解を深めてくださることを願っている。・・・しかし中国は広大で、そこに住む人びとは多様であり、本書は日中戦争期の中国の民衆の一部分について書いた にすぎない。今後、研究が進展して、当該時期の中国の民衆の実相と心性についての全体像が描かれること、さらに中国近現代の基層社会についての研究が進展 することを期待している。(本書「あとがき」より)
第一部 飢えとの戦い
戦場とその隣接地域
浙江省―くりかえされる戦争の被害/河南省―大飢饉
日本占領地域・汪精衛政権支配地域―上海
上海戦の開始からアジア太平洋戦争勃発まで/アジア太平洋戦争勃発後
国民党政府統治区―重慶と成都
共産党支配下の抗日根拠地
民衆の負担の増加/自然災害との戦い
第二部 ナショナリズムと社会改革―太行根拠地の社会と民衆
村と農民/太行地区の土地問題
抗日根拠地の建設と民衆
抗日根拠地の建設/民衆運動の急進化とその是正
抗日根拠地の危機
百団大戦と日本軍の反撃/晋冀魯豫辺区の成立/日本軍の治安強化運動と根拠地の縮小
危機の克服と根拠地の拡大
一九四二年の民衆運動/民衆運動の新たな展開/一九四四年から四五年の民衆運動
4・6判 272頁 2014年7月発行 ISBN978-4-87636-380-3
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石井弓 著
中国人の世代を超えた戦争記憶の実態を資料分析と広範なフィールドワーク・独創的な着眼で解明する。
〈目次〉
はじめに
本書を書くきっかけ/現実を置き去りにしない/一人ひとりの視点を研究にどう取り込むか/本書の構造
第一章 記憶はどのように捉えられるか
「感情記憶」の提起/「感情記憶」をどう論じられるか
第二章 中国における戦争記憶の変遷―政治運動にみる記憶表象とその受容
公的戦争表象と集合的記憶のズレ/「訴苦」―自らの経験を語る/「四史」―記憶の共有化の始まり/「憶苦思甜」―歴史を再記憶化する
第三章 日中戦争の記憶と視角イメージ
山西省盂県の概況と戦争の歴史/日中戦争の夢と映画/映画と夢の内容はなぜ異なるのか/映画と集団産業(合法化、人民公社建設)の相乗効果
第四章 戦争の語りの分析―「順口溜」から語りの広がりを読む
口承による情報交換と戦争体験の伝播/日中戦争を歌った「順口溜」―三つの村の比較から/趙家荘惨案を伝える「順口溜
第五章 記憶される語り
歴史・語り・記憶/趙家荘惨案を歌った「順口溜」の変化/「順口溜」の共有
終章
記憶を研究する方法論として/歴史と記憶/村落コミュニティと記憶の関係/記憶から広がる問題
A5判 284頁 2013年2月発行 ISBN978-4-87636-353-7
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大里浩秋編 神奈川大学人文学研究叢書32
〈目次〉
論文篇
在日朝鮮人運動と日本共産党―階級か、民族か 尹健次
GHQ占領期日本における朝鮮人メディアの世界―機関紙と雑誌に関する書誌的分析 小林聡明
戦後日本における中国人留学生の生活難と政治姿勢をめぐる葛藤―救済金問題を事例に 王雪萍
戦後台湾人留学生の活字メディアとその言論の左傾化 何義麟
戦後上海日本資産の接収と処理 陳祖恩
上海の『亜洲世紀』が見た戦後日本の政治 孫安石
日本の新聞・雑誌にみる昭和天皇の戦争責任 朴晋雨
吉田書簡から日中共同声明へ―捨てられた先達の苦心 田畑光永
資料篇
在日朝鮮人刊行雑誌(朝鮮語)記事リスト 小林聡明
終戦直後における中国人日本人留学生に関する年表 田遠
日本に於ける中国関係雑誌記事目録 一九四五~四九年 大里浩秋
A5判 474頁 2013年3月発行 ISBN:9784876363599
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安井 三吉 著
〈目次〉
序章 抗日戦争研究と盧溝橋事件
抗日戦争研究/八年抗戦と一五年戦争/盧溝橋事件―日本の見方・中国の見方
第1章 華北事変
親善外交と大連会議/二つの協定/宋哲元の登場/冀東防共白治政府/冀察政務委員会
第2章 抗日民族統一戦線
上層統一戦線/宋哲元と抗日民衆運動
第3章 山雨欲来風満楼
支那駐屯軍の増強/豊台事件/支那駐屯軍秋季大演習/二つの作戦計画
第4章 盧溝橋事件
劇化する演習/「第一発」と「兵一名行方不明」/盧溝橋―豊台―北平/牟田口聯隊長の決断/七月八日午前五時三〇分
第5章 「不拡大」の名のもとに
停戦と増派/平津戦役/東京と北平
第6章 全面抗戦への道
廬山の蒋介石/軍事機関長官会報/盧溝橋事件と中国共産党
終章
付録 支那駐屯軍と第二九軍の編成/盧溝橋事件に関する回想録と証言
4・6判 346頁 1993年9月発行 ISBN4-87636-113-4
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宇野 重昭 著
経済・政治的から文化的なものへと深化する日本の侵略の実情を解明し、これに対応した中国の抵抗の複雑性を折出する。
〈目次〉
序 深まる侵略 屈折する抵抗 宇野重昭
1 日本企業による経済侵略 金子文夫
2 初期「満洲国」における財政制度の構築 柴田善雄
3 東北における初期の抗日闘争―馬占山抗日戦記 太田勝洪
4 日中戦争下の東南アジア華僑 村上勝彦
5 関東洲における対中国人中等教育―旅順第二中学校 竹中憲一
6 抗戦期における大学教育と知識人―西南聯合大学をめぐって 安藤彦太郎
7 日本占領下の上海文学―華文女性月刊誌『女声』をめぐって 岸陽子
8 抗戦下の中国民衆の生活世界 宇野重昭
9 『新満州』の「国策雑誌」の実体 紅野敏郎
あとがき 安藤彦太郎
A5判 314頁 2001年11月発行 ISBN4-87636-203-3
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髙綱 博文 編
〈目次〉
総論に代えて 髙綱博文
Ⅰ 「国際都市」上海の支配と変容
日本占領下における「国際都市」上海―日本の上海外国人政策と外国人居留民状況 髙綱博文
戦時上海における敵産処理の変遷過程と日中綿業資本 今井就捻
日本占領下における上海都市管理体制の変遷 愈慰剛
日中戦争期における上海総領事館警察 孫安石
Ⅱ 戦時上海の都市文化
戦時上海百貨店と商業文化 菊池敏夫
戦時上海の聯誼会―娯楽に見る俸給生活者層の組織化と市民性 岩間一弘
上海「孤島」末期及び淪落時期の話劇―黄佐臨を中心に 邵迎建
日中戦争期における上海日本人学校―戦時徴用から戦時教育まで 陳祖恩
Ⅲ 抵抗・協力・グレーゾーン
「対日文化協力者」の声―陶昌孫を中心として 鈴木将久
日中戦争期上海の難民救済問題 小浜正子
日本の大陸政策と上海日本人YWCA―「文化政策」への協力と「国際主義」 石川照子
A5判 420頁 2005年4月発行 ISBN978-4-87636-246-2
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古厩忠夫中国近現代史論集
社会の現実に基づき、民衆の視座に立って書かれた八〇年代以降の作品を、三部に分けて収載。科学性と柔軟さと歴史的センスが結びつく古厩史学を開示。
<目次>
1. 日中戦争と上海
日中戦争・上海・私
上海-重層するネットワーク
五四期上海の社会状況と民衆
八・一三(第二次上海事変)と上海労働者
日中戦争末期の上海社会と地域エリート
2. 日本と汪精衛政権
汪精衛政権はカイライではなかったか
「漢奸」の諸相-汪精衛政権をめぐって
日本軍占領地域の「清郷」工作と抗戦
3. 私と東アジア
文化大革命と日本
学生デモにみる中国一九八六年
「表アジア」の「裏日本」
環日本海
A5判 516頁 2004年9月発行 ISBN4-87636-233-5
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