日本漢詩人選集

富士川英郎・入矢義高・入谷仙介・佐野正巳編

日本漢詩人選集1 菅原 道真

小島 憲之・山本 登朗 著

五十六首の漢詩を鑑賞しつつ、右大臣から流罪の身へと変じた波乱に富んだその生涯をたどり、詩作のなかに籠められた道真の実像をさぐる。

 

はじめに

神となった詩人/菅原道真の生涯/道真の詩の世界―菊と灯火/道真と『白氏文集』/『菅家文草』と『菅家後集』

第一章 修業時代

月夜に梅華を見る/賦して「折楊柳」を得たり/弾琴を習うを停む/秋華を翫ぶ

第二章 文人貴族として

八月十五夜、月の前に旧を語る、各一字を分かつ/雪中早衙/海上の月夜/暮春、南亜相の山荘の尚歯会を見る/博士難/春日、丞相が家門に過きる/夏の夜に、鴻臚館にして、北客の帰郷するに餞す/水中の月/阿満を夢みる

第三章 讃岐赴任

中途にして春を送る/早秋の夜詠/寒早し、十首・其の三/寒早し、十首・其の四/春尽く/河陽の駅に到り、感有りて泣く/冬の夜に閑居して旧を話る、「霜」を以て韻と為す/駅楼の壁に題す/春の日に独り遊ぶ、三首・其の二/四年三月二十六日の作/子を言う/立春/冬夜九詠・其の二・独吟/冬夜九詠・其の七・野村の火/冬夜九詠・其の九・残灯

第四章 栄達と苦悩

春夜の桜花を賦す、応製/七月七日、牛女に代わりて暁更を惜しむ、各一字を分かつ、応製/重陽の後朝に、同じく「秋雁櫓声来たる」ということを賦す、応製/龍門寺に遊ぶ/雨夜の紗灯を賦す、応製/春を送る/殿前の薔薇に感ず、一絶/裴大使の酬いられし作に答う/詩友会飲し、同じく「鶯声に誘引せられて花下に来たる」ということを賦す/第三皇子の花亭に陪り春酒を勧む、応教/早春内宴に、清涼殿に侍りて同じく、「草樹暗に春を迎う」ということを賦す、応製/残菊に対いて寒月を待つ/九日宴に侍り、同じく「菊一叢の金を散らす」ということを賦す、応製/近院の山水の障子の詩、六首・其の六・海上の春意/九日後朝、同じく「秋の思い」ということを賦す、応製

第五章 流謫の日々

自ら詠ず/門を出でず/雁を聞く/九月十日/秋の夜/家書を読む/菊を種う/官舎の幽趣/灯滅ゆ、二絶・其の一/灯滅ゆ、二絶・其の二/秋月に問う/月に代わりて答う/謫居の春雪

あとがき

4・6判 192頁 1998年11月発行 ISBN4-87636-163-0

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日本漢詩人選集3 義堂 周信

蔭木 英雄 著

中世の漢文学である五山文学の中でも学殖の豊かさで著名な周信の文学精神史を探ることに重点を置き、『空華集』を中心にこの禅僧の詩を評釈する。

 

はじめに

第一章 在京修業時代

無得励維那に酬ゆ/李杜の詩を読み、戯れに空谷応侍者に酬ゆ/遺悶一/遺悶二/上巳前の一日、武庫渓に宿り、亀山の諸友に寄す/後鳥羽帝の祠に題す/辛卯の上巳/韻に次し、古標幢知客に答う/吸江庵/文殊を礼し罷って、家に赴き親を省す/建仁の焼香、津絶海に寄賀す/怤上人に和答す/天竜の火後、四州に化縁す。山行作有り

第二章 関東の法戦・詩戦

常州の勝楽に方丈を剏建す/常州の旅館にて、浄智の不聞和尚の韻を用い、十首をば鹿苑の諸公の贈らるるに寄謝す 一、方外法兄に酬ゆ/七、樹中心に酬ゆ/大照に和答す/璣叟に和答す/韻に次し、臨川の大林書記に寄賀す 二首/即席に前韻を用いて、厳・海二書記、志・登二侍者に謝す/卒しく二十七首に和して、建長の諸友に寄答す 十二、適翁愜侍者に和答す/十四、東谷春蔵主に和答す/壬寅の冬、瑞泉蘭若の席上、通叟の詩に和して、武衛将軍源公に贈り奉り、兼せて幕下の諸侯に簡す 二首/壬寅の分歳/癸卯の分歳、自ら前韻に和す/人日、偶々杜詩を読み感有り。復た前韻を用いて陽谷に呈す/甲辰の上巳、韻に次し戯れに了義田に答う/乙巳の春、予天平に帰居す。歳歉なり。又上人里に回る/丙午の冬、蹔く海雲を出で京師に游ぶ。作有り/菊隠歌/韻に次して業子建に答え、兼ねて中厳和尚に簡す 二種/丁未四月十日、寿福方丈無惑禅師の席上古先・大喜・天岸の三師と同じく左武衛相公に会う。題を分ちて詩を腑す。各々三種なり 其の一に曰く、暮烟/其の二に曰く、沢の蛍/其の三に曰く、関の鶏

第三章 鎌倉の師家時代

仏成道焼香の偈/選書の赤松山に帰るを送る并に叙/戊申閏六月十五日の立秋、大喜の韻に和す/韻に次し、石室の建長に住するを賀す/己酉の二月十三日事に因り瑞泉を謝事す。偈有り道人に留別す/韻を珪大章に次し、陽谷光を悼む/建長伝芳の徒厚浚、信道元の回報を求む。乃ち偈を作り簡に代う/狂歌一首。詩に代えて竜石上人の豊城に帰るに贈り、兼ねて金華の雲石禅師に簡す。一笑せん庚戌の除夜、春林園上人に和答す/韻に次し、建長の太和侍者の訪ねらるるを謝す/四更の禅罷り、点燈して偈を作る/模堂楷書記を悼む/歳晩懐を書き春林上人に寄す/真を写す道林道人に贈る/竜門寺に遊び瀑布を観、観音堂壁に題す/石橋山に古を弔う/甲寅十月七日府君錦屏山に入り紅葉を游覧す。時に禅堂・浴室成り人物輝映す。余も亦た預る。韻に次し主人香山法兄に奉呈す/甲寅の十月、泊船庵に游び古を懐う/浄智の大虚の招かるるに赴かざるを寄謝す/粟田口武衛相公の帰省するに餞けす/小師梵和の金剛の元章法兄に見ゆるを送る/皎然の詩に和し、中竺道者の叡山に赴きて受戒するを送る/病より起き錦屏に如きて泉を観る。時に住山古天法兄絹を恵まる。此を作り謝を為す

第四章 京洛の師筵

おわりに

義堂周信略年譜

4・6判 280頁 1999年9月発行 ISBN978-4-87636-173-1

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日本漢詩人選集4 伊藤 仁斎

浅山 佳郎・巌 明 著

仁斎の漢詩三十余首について、中国語としての読みと、訓読という日本語としての読みを突き合せて読むという試みからみえてくる新・詩人仁斎像。

 

はじめに

テキストと訓点/詩の作成年について/詩人としての仁斎/仁斎詩の特徴/本書で取り上げる漢詩に見る仁斎

第一章 正保から万治まで

園城寺の絶頂/湖水/戴を訪う図/大井川の即事/菊花を詠ず/立春/閑居の口号

第二章 寛文から貞享まで

学者に示す二首/学問須らく今日従り始むべし/小弟の既に江城に到るを聞くを喜ぶ/即興/太宰道室親の病を聞きて帰省するを送る/宇治舟中の即事/即時二首/武田翁の招きに従うて仁和寺に花を翫ぶ/桜/堀川百首和歌題詠四一首のうち四首/清公の筵に陪して苦寒を賦す

第三章 元禄から宝永まで

嵯峨の途中/即時/難波橋上の眺望/淀河舟中の口号/原芸庵諸友を招きて二条藤丞相別墅に遊ぶ/嵐山観音堂の紅葉/鷹峰蕉窓主人の別業に遊ぶ/新年の作/仲春の偶書/秋日旧を懐う/市原道中の作/性通和尚の坊に題す/三月三日感有り

おわりに

4・6判 226頁 2000年11月発行 ISBN4-87636-190-8

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日本漢詩人選集5 新井 白石

一海知義・池澤一郎 著

 

新出資料=「陶情詩集」を中心に、若き日の白石が懐才不遇の念を抱きながら創った詩を読む。また江戸漢詩と宋詩との関係について新説を提起。

 

第一章 若き日の白石―新井白石と宋詩

癸卯中秋感有り/辺城秋/己巳の秋、信夫郡に到りて家兄に奉ず/梅影

第二章 白石青春詩訳注

土峯/新竹/新竹/夏雨晴る/尼寺の壁に題す/江行/暮に江上を過ぐ/小斎即時/山秀才の菅廟の即時に和すの韻に和す/小亭/病中懐いを書す/九日 友人の詩を問うに答う/松節の雪の詩、其の能く韻を用うるを愛でて之に和す二首/秋雨/暮れに帰る/即時/杜鵑枝に和す/中秋の夜 江氏に陪して月を河範の亭上に賞す/所見/春歩/郊行/病より起つ/松秀才の病を弔うに和す/松氏の韻に和す。自述三章 以て呈す/長秀士に寄す/梅下口号/春日雑題/春晩/病中八首/人日/夏日即時/春日人を送る/閨情/秋興/癸亥の秋、戯れに松青牛の瑞雲師の烏麦麺を憶うの韻を用う/蕎麦麺/読書の詞/浅香山に登る/辛未中秋和韻/壬申元日/乙亥七夕/画に題す十首

4・6判 256頁 2001年01月発行 ISBN4-87636-191-6

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日本漢詩人選集8 柏木 如亭

入谷 仙介 著

「呪われた詩人」といわれ、ボードレールになぞらえられ、詩と遊蕩に青春を送り「吉原詞」等を残した「江戸の」詩人の真の姿に迫る。

 

第一章 江戸

【木工集】

冬日、河豚を食う。河豚は冬日雪飛ぶに至り始めて肥ゆ。江戸の人時に以為えらく珍なりと。蘿葡を雑えて羹を為れば味い最も美なり/雨に淡浦翁を訪う 途中即事二首/弘福寺の小池 分韻/除夜/元旦 枕上に口号す/漫に書す/寛斎先生に寄せ奉る/夏初/北山先生に呈し奉る/冬夜書懐/己酉の歳莫/夏雨 谷文晁の宅に集う/病来/菅伯美の所居に寄題す/是の歳辛亥、寛斎河先生将に八月朔を以て、香山詩社を結び、而して白氏の神を祭らんと欲せり。谷文晁に属して其の像を画かしむ。既にして先生富山侯の聘に応じて越中に之く。期至り、昶等諸盟兄と同に、城東の弘福精舎に集い、香を拈り詩を腑し、因りて以て香山社を結び得るの起句と為す。各おの唐律一章を作して之にてんす。先生の雅意を曠しゅうせざらんことをねがうなり

【詩本草】

吉原詞

第二章 信越

【如亭山人藁】

塩浜の元旦/別後/余が家に旧と古泥研一を蔵して殊に宝愛を為す。近日貧甚だしくして出だして之を友人仏庵に售る。研に別るる。詩を作す/中野の草堂/新潟/晏起/木百年の所居に題す/香桜村に雨に阻まる/懐いを書す/王虚庵画く蕉鹿園老集図/遊春/菊を買う/赤羽に居を移す/壬戌の除夕に髪を下して戯れに題す/秋雨晏起/豊改庵に贈る二首/枕上に雨を聴く/乙丑の元旦枕上に口号す/木母寺/余再び越に遊び、石生と旧を嵐川の上に叙す。一夜生復た新潟に遊ばんことを慫慂す。余海岸風雪の険を畏れ、意を東に帰るに決す。途中偶たま思い及ぶ。因りて新潟の図を作す。更に系くるに詩を以て之に寄す/除夜/蕎麦の歌/九霞山樵の画山水歌/画に題す

第三章 西国

【如亭山人遺藁】巻一

駿州道中松魚を食う/三日四日市の海楼に飲む/大刀魚/僑居の壁に題す/七友歌、小栗十洲に贈る/吉備雑題/春寒/嵐山の花期已に近し此を留めて足庵に別る/河橋歩月/雨夜/知理校書に寄す

【如亭山人遺藁】巻二

癸酉の初夏京を去りて琵琶湖上の最勝精舎に寓す/冬初別所温泉に遊ぶ/楼上雪霽/雑興/中秋豊水に舟を泛ぶ/寛斎先生の長崎の幕中より帰るを途中に奉迎す/雑興/絶句/余が量は蕉葉の勝えず、客途に雨に阻まれ酒を以て消遺する能わず。乃ち一絶を作す/画に題す/木百年に逢う

【如亭山人遺藁】巻三

三月二十三日、風日初めて美なり。高蓬庵余に勧めて十二洲に桃花を看せしむ。蓬庵云う。洲は亜雅河中の一孤島なり。広さ十余里、満島灼々として雲錦の如し。惜しいかな賞する者は罕なりと。乃ち舟と饌とを命じて以て往けり。/合歓の歌/海鷗の歌/戊寅三月、黒谷別院の壁に題す/画に題す/讃州福島/浪華の客舎の壁に題す/梁伯兎に逢う/仲春 兜盔山中 暁に発す/三日 杜生の醪を送るに謝す/首夏の山中病いより起つ

第四章 柏木如亭について

柏木如亭とボードレール/その詩/その生/その死と墓碑の運命/テキストと参考文献

柏木如亭年譜

4・6判 232頁 1999年5月発行 ISBN4-87636-170-3

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日本漢詩人選集9 市河寛斎

西岡淳・蔡 毅著

寛斎の詩をその人生の歩みに沿って、少荘・北里・江湖・越山・傲具・華甲・崎陽の七章で鑑賞し、最終章で、寛斎の生涯、著作そして彼の詩の特色を考察する

 

第一章 少壮

初晴の落景、初唐の体に効う/恭卿の郷に帰るを送る/水亭 酒に対するの歌/何子真の秋夜月を望んで憶わるるに酬ゆ/落梅の曲、女を哭す/美人 楼に倚る/陽子を夢む/九月十五日夜、子野の客舎にて月を賞して、韻を分かつ/王績の「杖を策きて隠士を尋ぬ」に擬す/炉辺の閑談/昌平の春興

第二章 北里

北里歌

第三章 江湖

景連駿河自り、鈴石を携示す。余感ずる所有り、詩一章を賦して之に贈る/戊申の元旦/楊柳詩詞/夜に桜花を看る/塔沢温泉に浴すること数日、小詩もて事をを紀す/苦熱/碩茂 蕎麺を供す。云う、「家人の製する所なり」と/遊春、永日の韻に和す/梅天/晩涼/秋日満成/諸葛武侯像/移居/月夜 伯美を憶う/両児を拉きて東郊に梅を尋ぬ

第四章 越山

村大夫邀えらるる/歳晩 懐いを書す/夏日 白雲楼に遊ぶ。即事、韻を分かつ/将に江戸に帰らんとして、客舎の壁に留題す/浴後/盆梅/秋懐、陳後山の韻に追和す/晩れに山居に帰る/即事/晩秋/菫斎に贈る/梅圃/天民が宅の新燕/小園即事/越後道中/重ねて江湖詩社を結ぶ/書懐/小畦/春晴/石を買う/亥児 伊香保温泉に浴す、此を寄す/途中 花を看る/客館苦熱/菊枕

第五章 傲具

傲具の詩/瑪瑙の研山/冬嶺先生手抄の放翁詩/愛染像/盆山/古馬鐙/菊枕

第六章 華甲

亥児の書を得ざること百数日、秋初崎陽より発し、秋杪を歴て始めて達す。喜びを志す/梅窓/晩秋 本邸に秋田侯を邀えて宴するに侍し奉り、恭んで賦す/八日市の酒楼より田疇を眺望す。菜花盛んに開き、黄金界を以て之に命じ、係くるに一絶を以てす/魚を買う/戊辰六月嘉祥の日、余が六十の初度なり。児輩、為に宴を設けて客を請う。因りて戯れに福・禄・寿三絶句を賦し、以て自ら賀す/暁寒/漫ろに作る/岳を望む/文化己巳初春、駿州の桑公圭が宅に信宿し、池五山・柏如亭の壁に題するを読む。忽然として感ずる有り、筆を援りて其の後に書す/宇治川の舟中、十洲の韻に次す/重ねて金洞山に登る

第七章 崎陽

壬申元旦の作/苦吟/偶成/初冬江村即事/海上 誠斎の体に倣う/静巌の贈らるるに酬ゆ/癸酉冬至前の一日、崎陽の客室にて感ずる有り/小倉舟中/大槻盤水が六旬を寿ぐ/丁丑元旦/七十吟/鏑木夫人六十の寿詞/村田水葒の望仙楼の題す

終章  市川寛斎について

市川寛斎略年譜

4・6判 246頁 2007年9月発行 ISBN978-4-87636-275-2

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日本漢詩人選集11  良 寛

井上 慶隆 著

「良寛詩の背景」と「良寛詩抄」の二部で構成。背景で歴史家の視点から良寛の実像に迫り、詩抄で風土・生活・人物・思想に分け、良寛詩の真相を読み解く。

 

第一部 良寛詩の背景

出雲崎と橘屋と良寛

斜陽の家/良寛の生涯についての諸説

修学と修行

三峰館の学系/円通寺での修行と諸国行脚

良寛詩と越後

東村の叟たち/打毬の歌/非人八助への思い

第四章 庵居の良寛とその時代

郷村の社会生活/良寛周辺の学風

第五章 死とその後

第二部

第一章 風土

青陽二月の初め/薪を担い翠岑を下る/子規/清夜二三更/孟夏芒種の節/八月涼気至り/秋夜夜正に長く/玄冬十一月/荏苒歳云に暮れ/冬夜長し/草庵雪夜の作

第二章 生活

遍歴

高野道中衣を買わんとするに、直、銭のみ/再び善光寺に遊ぶ/伊勢道中苦雨の作/予、雲游すること二十年、某月日玉島を発して将に郷に還らんとす、糸魚川に至り病に縈りて之く能わず、某社人の家に投ず、雨を聞き凄然ととして作有り/郷に還る/四十年前行脚の日/阿部氏宅即事

草庵

乞食/柳娘二八の歳/三越佳麗多し/少小筆硯を擲ち/襤褸又襤褸/食を乞う/終日の乞食に罷れ/家は深林の裏に住ち/住庵の吟/静夜草庵の裏
第三章 人物

交友

由之と酒を飲み楽しみ甚だし/懐い有り/鈴木隆造に贈る/天放老人/臘月二日、叔問子より芋及び李を恵まる、賦して臘以て答う/間庭百花発き/峨眉山下の橋杭に題す/夜雨主人に贈る/暮れて思々亭に投ず

追慕

中元の歌/義士実録の末に題す/孔子/憶う円通に在りし時/仙桂和尚/芭蕉

第四章 思想

仏道

僧伽/永平録を読む/弘智法印の像に題す/我れ行脚の僧を見るに/我れ講経の人を見るに/文殊は獅子に騎り/仏は是れ自心の作/我れ昔静慮を学び/我が生何処より来り

憂世

寛政甲子の夏/地震後の詩/何ぞ俗之孤薄なる

詩論

可憐なる好丈夫/誰れか我が詩を詩と謂う

あとがき

4・6判 240頁 2002年5月発行 ISBN4-87636-210-6

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日本漢詩人選集13 館 柳湾

鈴木 瑞枝 著

中晩唐の詩を好み、浪漫的情趣豊かな漢詩を創作。永井荷風をして「最も愛誦するもの」といわしめた江戸後期の詩人=柳湾の詩を厳選し鑑賞。

 

第一章 享和以前の詩

偶題/生日作/万年蕉中禅師 東勤し趨謁する喜びを記し 兼ねて其の八十を寿し奉る/鵬斎先生の畳山邨畳句十二首に和し奉る 次韻(六首)/高山官舎に題す/晩帰/夏日即事/晩に大隆寺に上る/中山七里/籠渡/高山郡斎独夜口号/臥牛山人、田中璣堂 過ぎらる。時に霖雨 新たに晴れ 東山 月を吐く。分韻して山字を得たり/検田/冬日即事/久昌寺に夜集まる。江字を得たり/医士野口士錫宅にて盆梅を詠ず/出門/山行して雨に遭い戯れて長句を作る/大隆寺避暑 台字を得たり

第二章 文化年間の詩

老松篇 臥牛山人の六十を寿ぐ/夢に高山郡斎に到り絶句を作る。覚めて末句を記し、乃ち前三句を足し、臥牛山人に寄す/高田静冲の郷に帰るを送る(二首)/夏日 服升庵水亭即事/原士簡 乃堂を奉じて 柏崎旧寓に赴くを送る/十二月朔日、上毛より東都に帰る途中の作/癸酉元旦/春初雑題/鰕/斎藤士訓の丹後に之くを送る/春日雑句/春日鵬斎先生を訪い奉る時 雷鳴り雪起こる。戯れに一絶を呈す/聖林上座過ぎらる。席上茶を煎じ詩を談ず(一首)/香匳体 分けて源氏伝を賦し明石篇を得たり/聖林禅子の越後に帰るを送る(一首)/金輪寺の後閣に上る(一首)/春初雑題/鳴門主簿の小院に題す/鶯 谷を出づ/某侯の後園に菊を観る/秋夜独坐して即事を書し致遠に寄す/雪の夜 両国橋を渡る/春初雑題/三月晦日、伍石、曲河二老及び諸子と、白馬台に集まり、春を餞す。曲翁席上花卉数頁を作り、各分ちて其の上に題す。余、牡丹折枝を得たり

第三章 文政年間の詩

栗軒偶題(三首)/金山雑咏(七首)/寒夜文宴/山駅梅花/検旱/聞中禅師久しく京師に在り。相見るを得ざること十七年。丙戌の夏飄然として東遊し 幣舎を来訪するを蒙る。席上 話次 三絶句を賦して奉呈す(二首)/目白台に移居し、城中諸友に寄す/邨居戯題/近郊閑歩/小園の秋草 花盛んに開く(一首)/秋蝶/秋尽(一首)/雑司谷雑題(二首)/伊沢蘭軒及び諸子と雑谷十介園に遊ぶ。園中に野梅百余株 花盛んに開く。韻を分って同に賦す(一首)/翌日大雪 前韻を用い 戯れに蘭軒に呈す(一首)

第四章 天保年間の詩

松浦万蔵、巻致遠、高田静冲、沖文輔及び家士建と同に信川に舟を浮かぶ/江邨/夜 漁歌を聞く/庚寅夏の初め新潟に省墓す。滞留数月、九月十八日、目白の園居に帰る。翌日家宴、児孫輩、咸集まる。小酔し醺然として五絶句を口占す(二首)/偶成/元旦作/松崎慊堂先生の羽沢園居を過ぐ/癸巳八月十九日男婦菊田氏一男を挙ぐ。口占二首(一首)/飯山子教の米を餽れるを謝す/乙未元旦 又三絶句を作りて自ら戯れる(一首)/伊沢朴浦宅尚歯会/戊戌新春/椿山、梅癖、玉川、草堂を訪れる。共に埭口に遊び、楓を観て茶を煮る。四絶句を得たり(一首)/春日晩歩/春日雑題/早春雑句/池上竹亭独酌/八月望後二日、田代吉庵、吉田温知、橋本魯橋及び貝倩竹濤と隅田川に同遊し、百花荘に飲む。晩に石浜竹鳴楼に至り、月を玩びて、六絶句を得たり(二首)/食筍(一首)/飛州の大井使君 益田の榧子を寄恵せらるるを謝し奉る(一首)/自題/梅癖、鴻宮邨に帰りて久しく至らず。四絶句を作って懐いを寄せ、兼ねて椿山、玉川に似す(一首)/甲辰元旦 佳孫の墨梅に題す

第五章 館柳湾について

越後から江戸へ/お役人暮らし/御隠居となって/柳湾とその家族/柳湾詩雑考

4・6判 256頁 1999年1月発行 ISBN978-4-87636-164-9

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日本漢詩人選集14 中島 棕隠

入谷 仙介 著

棕隠の漢詩を、江戸の棕隠、京都、快楽の都、人々の生活、趣味の生活、山陽路の旅、旅の棕隠、自らを語るなどに分類し、その精髄を示す。

 

第一章 江戸の棕隠

東山に月に歩む、韻豪を得たり/墨水の舟中に懐いを写す/冬日池五山に懐いを寄す/池無紘に贈る/災後根津に僦居して偶たま一律を得たり/壬申八月琴廷調初めて江戸に遊び余を不忍池上に訪う。詩有りて示さる。之を賦して答謝す/将に江戸を去らんとして感有り

第二章 京都、快楽の都

鴨東四時雑詠/丙子の除夕に龢子貫、黄子斐と祇園の東店に飲み酔後四絶を得たり/銅駝橋納涼/兎道に月を看る/二月廿九日、平椿孫・岡鈍夫・水文龍と偕に嵐峡に花を賞し、往還に随たま此の八首を得たり/四月廿六日、再び嵯峨に遊び、邨田季秉、児順を携う。途中口占/三本木僑居雑述十六首/秋の季に真如堂に楓を観、晩間に雨に遇う二首

第三章 人々の生活

田園雑興/丁亥四月、西遊して備後福山城に抵り、津川氏の客館に留寓す。越えて廿有九日、木鶏、恰雲二詞盟及び館人某某と舟を走嶋鍛冶山の間に泛べ、漁人の鯛魚を打するを観る。遊賞して日を竟り、次第に卅三絶を得たり/客歳夏秋の交、淫雨連旬、諸州大水し、歳夏登らず。今茲七月に至り、都下の米価涌騰益ます甚だしく、一斗の三千銭をすぐ。餓殍路に横たわり、苦訴泣哭の声、四境に徹す。建たくしてより還かた未だ有らざる所なりと云う。感慨の余、此の廿絶を賦す。

第四章 趣味の生活

乙酉の春新たに端硯を獲て喜ぶこと甚だしく為に六絶を賦す/同前、新たに程君房の龍門の墨を得て癡情喜躍に勝えず、先ず試むるに端渓老坑の硯を以てし、筆に信せて此の二十八字を作す/己亥三月十九日、例に沿りて牡丹十首を賦す/北山に松覃を採り帰途に星洲上人を訪う/乙酉の臘月廿日、幣廬にて潑散会を作す。嶋松洲本伯亨は月琴を弾じ、彼東碧は胡琴を搊し、元縁斎は和するに横笛を以てす。蓋し四子は近ごろ長崎より都下に来たる。其の曲は皆清客の親授する所にして、新奇、最も賞すべし。余は固より音を解せず。漫に其の一の鳳陽調なる者を取り、蕪詞を填して以て歓を抒す。家人等、絃に倚りて之を唱う。亦一時の快楽なり。

第五章 山陽路の旅

茶山菅先生に贈る/六月望、亀山伯秀、余が為に遊舫をやとい新地の南港に飲む即事/谷文晁の山水横巻に題し橋本元吉が為にす/玉蘊女史に贈る/閏六月十八日瑤浦より舳津に到る舟中の作/福禅寺寓居雑題十首/木綿橋客楼口占/伏水途中

第六章 旅の棕隠

今茲五月十二日、将に飛騨に遊ばんとし先ず路を鶴浦に取り、之に淹留すること数日、彦藩の広瀬大夫、小船を以て招かれ、水路十里、命ぜらるる所の客館に投ず。管待特に優なり。廿二日、諸友及び余を其の邸に邀飲さる。酣興の余、此を賦して謝し奉る。/飛越の界、渓流怒激して航すべからず。土人大柱を両崖に建て、亘りて張るに三大縄を以てし、二条は小局を穿ち挂け、一条は之を牽く人乗りて往来す。呼びて籠渡と作す。感土にいわゆる度索、尋橦の類なり/越後道上の作/歳抄偶成/長崎僑居雑題七首/雲州雑題

第七章 自らを語る

放言/雨夜読書/漫に題す/老態/自述

おわりに

中島棕隠年譜

4・6判 216頁 2002年3月発行 ISBN4-87636-208-4

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日本漢詩人選集15 広瀬淡窓

林田 愼之助 著

ふるさとの歌、懐旧の歌、遊学の歌、諸生を励ます歌、詩魂を磨く歌、旅の歌、晩節の歌に分けて、淡窓七十余年の生涯をたどりその漢詩を味読する。

 

はじめに

第一章 ふるさとの歌

偶成/隈川雑詠/隈川に夜漁を観る/山車/東楼

第二章 懐旧の歌

懐旧四首

第三章 遊学の歌

筑前前道上/太宰府にて菅公廟に謁す/筑前城下の作/亀井大年の肥後に遊ぶを送る

第四章 諸生を励ます歌

桂林荘雑詠諸生に示す/夏日桂林荘に独り題す/恵学の摂に帰るを送る/昇道の南肥に遊ぶを送る/須恵客舎/彦山/南冥先生の墓に謁す/原士萌に贈る

第五章 詩魂を磨く歌

卜居/同社を記す/席上筆を走らせ頼子成に贈る/酒瓢に題す/田君彝来たり、亀陰に寓す。詩及び画を以て恵せらる。此を賦して以て謝す/早起/淡窓

第六章 旅の歌(一)

耶馬渓/南塢/心遠所/北塢/醒斎/夜雨寮/昭陽先生を挽む/保命酒を詠ず 備後中村氏の為に/赤馬関雑詠/赤関を辞す/昭陽先生の墓下の作/御風主人、予を那珂川の上りに觴す賦して贈る/春好/中島/大隈氏の幽居に題す/平岡子玉の篔簹書屋/聖福寺に遊び巌公に贈る/再び聖福寺に遊び巌公に贈る

第七章 旅の歌(二)

将に西のかたに遊ばんとする前夜に作る/佐賀道の上/佐嘉に草佩川を訪れ、賦して贈る/牛津の駅に宿る。珮川追いて至れば賦して贈る/武雄/琴湖晩望/長崎/東遊道中/別府/府内侯に陪し春別館に駕遊す/太宰徳夫を賛す同前/津田秋香の百虫画巻に題す/肥前道上/長崎を発つ/唐津/府内を発つ/帰途の作

第八章 晩節の歌

懐いを別府の矢田子朴に寄す/秋暁/長崎の山無逸、春大通、王梅菴撰する所の折玄序を伝示す 賦して二子に貽る/即事/小石聖園将に東に帰らんとして過訪す 賦して贈る/七十自ら賀す

あとがき

4・6判 224頁 2005年01月発行 ISBN978-4-87636-241-7

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日本漢詩人選集16 広瀬旭荘

大野 修作 著

清朝の学者兪樾が『東瀛詩選』で「東国詩人の冠」と絶賛した旭荘の漢詩から、その特色である長編大作を含め六十八首を選び精読する。

 

はじめに

第一章 東遊行

亀山神祠に登る/穏渡の歌/松氏の晩香堂に宿り、懐いを松郎に寄す。時に郎は西遊して余が家に在り。/閏六月五日、廉塾を発す/野奇仲 裨海に漁するに導く/八月八日、広村にて田大介に遇う

第二章 日田在郷時代

島子玉の丑時の咀に和す/虎伏巌/宇佐にて神廟に宿る/旭荘/南疆繹史を読む/樺石梁先生に贈る/倪有台の晩帆楼に寄題す/水哉舎/奥人・添川寛夫来訪す。夜坐し、賦して贈る。其の示す所の韻に次す。/銀杏樹歌を読む/目を病む/春雪/筇山の道中/題を桜老泉の寄す/もちつき曲/新年 親姻を宴す/昭陽先生、改めて春頌と号す。余に命じて春頌の詩を作らしむ/春雨 筆庵に到る/二月二日の作/夏日偶成/偶作/夏日 雨後 月色殊に佳し/夏日、広円寺に遊び、分韻して烟字を得たり/蒲君逸、水三筒を送れり、曰く孤清水、曰く天神水、曰く歳神水、加うるに手製の茶一囊を以てす。詩を以て之に謝す。/東坡赤壁図に題す/樵婦

第三章 佐賀長崎紀行

内山氏の梨雲館に宿る/松子登の蔵する所の蒙古兜を観る/

第四章 江戸大坂在住時代

あとがき

4・6判 242頁 1999年3月発行 ISBN978-4-87636-167-0

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日本漢詩人選集17 梁川星巌

山本 和義・福島 理子 著

江戸の著名な人物であるにもかかわらず多くの謎を秘めた詩人の生涯と芸術を残された詩から追求する。「若き日の情熱と焦燥―星巌甲集の世界」「彷徨 う駱駝―星巌乙集の世界」「円熟の美―星巌丙集の世界」「鬱勃たる憂憤―星巌丁集の世界」「『言わず、清世 吾れ用無し、と』―星巌戊集の世界」「終わり に―星巌遺稿の世界」の構成。付・略年譜、関係文献一覧。

 

序 詩人星巌の誕生とその謎

一 若き日の情熱と焦燥――星巌甲集の世界

二 彷徨う駱駝――星巌乙集の世界

三 円熟の美――星巌丙集の世界

四 鬱勃たる憂憤――星巌丁集の世界

五 「言わず、清世 吾れ用無し、と」

六 星巌遺稿の世界

後 記

星巌略年譜

星巌関係文献一覧

4・6判 216頁 2008年10月 ISBN978-4-87636-286-8

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日本漢詩人選集 別巻 古代漢詩選

興膳 宏 著

日本人が中国文化を受容し独自の文化を形成する一環として、いかに漢詩を摂取し自国の文学として育んだかという視点から近江・奈良朝から菅原道真までの漢詩の流れを追う。

 

序  章 古代日本人の漢詩新学び

第一章 万葉歌人たちの漢詩――日本漢詩のあけぼの

第二章 長屋王サロンの詩人たち――君臣唱和の詩(一)

第三章 嵯峨天皇――平安詩壇のオルガナイザー

第四章 有智子内親王――平安初期の女性詩人

第五章 平安朝初期の詩人群――君臣唱和の詩(二)

第六章 空海――社交の詩から個人の詩へ

第七章 島田忠臣――叙情の深化

第八章 菅原道真――その長編古体詩

あとがき  

4・6判 272頁 2005年10月発行 ISBN978-4-87636-253-0

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