日本史・日本思想
大口勇次郎著
徳川幕府財政史の研究 目次抄
はしがき
第一章 享保期の幕府財政
享保十五年の収支構造/十八世紀の財政政策
第二章 寛政・文化期の幕府財政
史料の性格/財政収支の概況/臨時的経費の分析
第三章 天保・弘化の幕府財政
天保十四年、弘化元年の収支構造/
水野忠邦の失脚と土井利位の財政改革/
弘化元年の貨幣方収支/嘉永・安政の幕府財政
第四章 文久期の幕府財政
問題の所在/文久三年の納払勘定帳の特徴/金銀方の歳出/
歳入の動向
第五章 幕末維新期の財政政策―御用金と金札
幕府の御用金/金札/明治元年の御用金と太政官札
第六章 消費者としての江戸城ー将軍御膳の魚料理ー
江戸城における「食」に関わる職制/将軍の習慣/
「御肴の御易り」/ 将軍の献立―文政四年一月/将軍膳の魚介類/
結びに代えて―魚の流通市場と江戸城の需要
終 章 徳川幕府の財政
幕府財政の成立/十八世紀の財政改革/
江戸後期の幕府財政/開港後の幕府財政/幕府財政の時期区分
あとがき
農村史からの出発/財政史まで/大学紀要への投稿/他流試合/
大野・飯島氏の財政史研究/社会史と女性史/財政史をまとめる
A5判上製 298ページ 2020年9月刊 ISBN978-4-87636-456-5
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武田祐樹著
本書は、林羅山(1583~1657)の学問形成とその特質の実態解明を目的とする。これにあたり、林羅山が作成した古典注釈書と彼が主導した徳川幕府による修史事業に着目し、清原宣賢(1475~1550)や藤原惺窩(1561~1619)および林鵞峯(1618~1680)との比較検討を行うことにより、林羅山が先学の問題点を如何に認識し、自身は如何に超克したのか、また林羅山自身の問題点は何処にあり、それは如何に克服されたのかを、現存する林羅山資料の個別の性格に十分な配慮をしつつ、具体的な証拠に基づいて論じる。(本書「序論」より)
林羅山の学問形成とその特質―古典注釈書と編纂事業― 〈目 次〉
序 論
前篇 慶長から寛永前半にかけての林羅山と古典注釈
第一章 清原宣賢「三略秘抄」と林羅山「三略諺解」の比較検討
第二章 「七書直解」のテキストに対する姿勢の比較
第三章 林羅山の「大学」解釈をめぐって
第四章 藤原惺窩と林羅山の交渉再考
―「知新日録」受容を考慮に入れて
後篇 寛永末年からの林羅山と編纂事業
第五章 五山文学批判と博への志向
第六章 林羅山の学問とその特質について
第七章 「本朝神社考」上巻の構成について
第八章 徳川幕府の宗教政策と「本朝神社考」との連動について
第九章 修史事業から窺う林羅山と林鵞峯の差異
結 論/文献目録/図 表/あとがき/索 引
A5判上製 321頁 2019年2月発行 ISBN978-4-87636-442-8
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吉田公平・小山國三著
中江藤樹の心学を継承したのは淵岡山(ふちこうざん)の学統であった。しかし、淵岡山の学統が学んだ軌跡と思索の所産を証言する遺書遺言が自筆写本のままであったため、一次資料にも基づいて丁寧に解明されることはなかった。……
そこで本書では、一次資料を丁寧に読み解いて、できるかぎりその時代に則して、淵岡山の学統が会津・喜多方で講学した姿を明らかにすることに努力した。
いかに生きるかを問い続けた心学の原理は今でも生きている。否、今こそ改めて再評価さるべき哲学資源であると思う。(「まえがき」より)
中江藤樹の心学と会津・喜多方 〈目 次〉
まえがき
Ⅰ 中江藤樹の心学 吉田公平
はじめに/一 中江藤樹が生きた時代/二 中江藤樹が学んだ朱子学・陽明学/三 朱子学の特色/四 王陽明の心学/五 中江藤樹の心学の特色/六 中江藤樹の煩悶/七 門人教育について/八 門人たちの学び/九 中江藤樹心学の現代的意義
Ⅱ 中江藤樹の心学を学び伝え続けた会津の人々 小山國三
序章/一 藤樹心学の会津における学祖ー大河原養伯と荒井真庵/二 大河原養伯と荒井真庵の帰国後の動き/三 藤樹心学御制禁/四 藤樹心学解禁後の会津/五 北方後三子と北川親懿/六 幼学講/七 藤樹心学 会津における最後の継承者/余章 明治以降の動き
〔付〕『北嶺雑記』書誌および解題/注/会津藤樹心学指導者の系譜/
年表/引用・参考文献/あとがき 吉田公平
四六判 263頁 2018年8月発行 ISBN978-4-87636-437-4
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井上 勲著
ペリー来航から大政奉還と王政復古まで四巻本として構想された著者のライフワーク、その第一巻。著者は校正半ばで急逝され本書のみが公刊される。
第一章 嘉永六年六月三日
幕藩体制╱政治社会の形成ー幕府の諮問と諸大名の答申
第二章 阿部正弘の幕政運営
将軍代替と将軍補佐╱大船建造、大号令、対外交渉╱和親条約と幕政改革
第三章 通商条約ならびに将軍継嗣
ハリス来日、幕閣再編、将軍継嗣╱堀田正睦の上京と朝廷
第四章 井伊直弼の幕政指導
大老井伊直弼╱戊午の勅諚╱断獄
終章 桜田門外の変
謝辞ーあとがきに代えて
校正を終えて(伊藤真実子)
おわりに(井上輝子)
A5判 610頁 2017年5月発行 ISBN978-4-87636-424-4
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加地伸行著作集Ⅱ
中国哲学の専門家による日本における中国思想の受容と展開の独自性を追求した論集。
第一部 日本古代における中国思想受容
第一章 中国思想の先駆的受容
前方後円墳に投影された経学的意味/邪馬「臺」国/「臺」字の解釈/『太平御覧』所引『魏志倭人伝』について
第二章 中国思想の内面化
空海と中国思想と―『指歸』両序をめぐって/空海の言語論における日本的性格/大真言から小真言へ―『文鏡秘府論』の構成/『竹取物語』と道教と
第二部 儒教の本質的理解―中江籐樹の孝
第一章 『孝経啓蒙』の成立
『孝経』について/日本における『孝経』/『孝経大全』/明人朱鴻『孝経輯録』/『孝経啓蒙』の成立/『孝経』をめぐる籐樹と羅山と
第二章 『孝経啓蒙』諸本の系統とその展開と
諸本の解題/籐樹の孝における孤剣楼本『孝経啓蒙』の意義/天理図書館所蔵本『孝経啓蒙』について/『孝経啓蒙』の文献的特徴と諸本の関係と/真祐本『孝経啓蒙』と安井真祐と
第三章 中江籐樹の孝
藤樹の孝についての川島武宜説批判/川島武宜説批判の補論/籐樹の孝についての守本順一郎説批判/日本陽明学の孝
第三部 中国学の総合的理解
第一章 中井竹山・中井履軒と懐徳堂と
漢詩文/字音/経学/史学/懐徳堂文庫所蔵漢籍研究の予備調査
第二章 皆川淇園と大田錦城と
皆川淇園の『論語繹解』/大田錦城の『論語大疏』・『仁説三書』
第四部 儒教に対する誤解
教育勅語とは何か/丸山真男について
鶏肋二束・上
前方後円墳に投影された中国思想/飛鳥の削られた木簡/井真成は朋友を悼む日本人か/『万葉集』の「耆矣奴」考/『伊勢物語』「井筒の歌」正解/亀井南冥の『論語語由』/網野善彦氏の「百姓」について/天理教の「九億九万九千九百九十九人」/懐徳堂から適塾へ
鶏肋二束・下(講演)
泊園書院と懐徳堂―大阪の学問/天理教の「おふでさき」/教育勅語の中の儒教
資料一 『孝経啓蒙』孤剣楼本影印
資料二 孤剣楼本『孝経啓蒙』の前附・『孝経』本文の活字版
A5判箱入 644頁 2015年10月発行 ISBN978-4-87636-402-2
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川邉 雄大 著
明治期の東本願寺(真宗大谷派)上海別院における布教活動、ならびに日本人布教僧と清末文人との漢詩文や書画を介した交流について、加賀出身の布教僧、松本白華・北方心泉を中心に据えて考察する。
〈目次〉
第一部 明治期における東本願寺の中国布教史
第一章 幕末明治期の東本願寺を取巻く環境
幕末維新期の東西両本願寺/幕末明治期の真宗と咸宜園/白華の上京/白華の海外視察
第二章 明治期の中国布教
幕末明治期の日中関係/明治前期の中国布教/明治三十年代の中国布教
第二部 東本願寺僧侶の日中文化交流
第三章 白華・心泉の文人交流 幕末維新期における上海情報/清末文人との交流/杭州文人との交流/上海在住の日本人書画家との交流/明治三十年代における交流
第四章 帰国後の心泉の活動―書の内容を中心として 心泉の書学/三宅真軒による学問的助言/心泉の書籍購入
結論 年譜
A5判 408頁 2013年10月発行 ISBN978-4-87636-366-7
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吉田公平著
中江藤樹を嚆矢とする心学の流れを、江戸・幕末維新・明治期に分け、主要人物の思想を解析。
序説 日本心学の特色
Ⅰ 江戸期の心学者たち
カウンセラーとしての中江藤樹/一七世紀の安東省菴/盤珪の不生禅と王陽明の良知心学/盤珪禅師の不生禅が投げかけた問い/雲川弘毅著『心学辨』について/川田雄琴の『予州大洲好人録』/鎌田柳泓の『中庸首章講義筆記』
Ⅱ 幕末維新期の心学者たち
幕末期瀬戸内海の陽明学者/大塩中斎と林良斎/林良斎と池田草庵/東敬治主幹『陽明学』における春日潜庵/春日潜庵先生叢書のことなど/春日潜庵の誠意説前史/春日潜庵の晩年―村上作夫『東遊日記』の世界Ⅲ 明治期の心学者たち
山田方谷の「気生理」の説/明治の陽明学者 春日白水/幸田露伴の『努力論』と陽明学
A5判 448頁 2013年3月発行 ISBN978-4-87636-357-5
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岡 利郎 著
(本書より)
現在までの愛山研究を概観する と、そこに二つの問題が残されていたと思われる。第一には愛山の政治思想を正面から問題とした研究がほとんどないこと(彼の「国家社会主義」「帝国主義」 について論じたものはあるが、政治思想全体の考察には及んではいない)、第二には愛山が研究対象として取上げられる場合、彼の思想の一面のみがとり出さ れ、彼の思想構造全体がそれ自体として問題にされることがほとんどなかったことである。本稿はもとより右の問題を全面的に取扱うものではないが、それに対 する一つの試みとして意図されている。
〈目次〉
第Ⅰ部
山路愛山における「史論」と「政論」―山路愛山研究序説
生い立ち/キリスト教/明治二〇年代/「史論」の世界/国家と個人
明治日本の「社会帝国主義」―山路愛山の国家像
愛山の個人史と国家像―「縦」の前提/「史論」と国家像―「横」の前提/愛山の国家像の特質
第Ⅱ部
キリスト者愛山の明治思想史論
史論家愛山の日本資本主義発達史論
幕臣愛山の家康論
ポスト福沢世代の青年達
「文明批評家」三宅雪嶺
内村鑑三不敬事件
民友社グループの史論と政論
4・6判 312頁 1998年11月発行 ISBN4-87636-161-4
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町田 三郎 著
<目次>
序 明治漢学覚書
(1)明治の漢学 明治初年の中国旅行記―竹添井井『桟雲峡雨日記』・岡鹿門『観光紀游』/初代長崎領事余ケイとその書翰/重野成斎の人と学問/島田篁村 の学問一斑/岡松甕谷のこと/東京大学『古典講習科』の人々/天因西村時彦覚書/『漢文大系』について/『漢籍国字解全書』について/井上哲次郎と漢学三 部作
(2)明治から大正・昭和へ 林泰輔と日本漢学/遠藤隆吉覚書
A5判 328頁 1998年1月発行 ISBN978-4-87636-150-2
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町田 三郎 著
漢学という忘れられかけた文化事業に光をあて江戸・明治の逸材を掘り起こす。好評の『江戸の漢学者たち』『明治の漢学者たち』につづく三部作。
〈目次〉
(1)イ村・宕隠・息軒/イ村補説/安井家三代の学問―滄洲・息軒・朴堂/竹添井井「紀韓京之変」について/岡本監輔と『岡本子』/久保天随の日本漢学史研究/『東閣倡和集』をめぐって
(2)明治の青春―小西和の軌跡/村上知行のノート/浦野匡彦覚書/遠藤隆吉「漢文日記」
(3)福岡漢学/仁井田南陽のこと/学則・学規・破門のことなど/朱瞬水と黄遵憲/前橋時代の津田左右吉/「舌人」の学/「中国域外漢籍国際学術会議」のこと/「九州中国学会」のことなど/金谷治先生を偲んで
A5判 352頁 2009年3月発行 ISBN978-4-87636-293-6
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野村 浩一 著
(本書より)
近代日本の歴史をふ り返る時、たぶん私たちは日中関係の構造そのものが、わが国にもたらした本質的な思想的問題について、あらためていくつかの感慨を抱かされるにちがいな い。・・・わが国の中国侵略は、およそ「アジア」の一国という立場に立つ限り、近代日本に深く突きささった意識における棘であった。隣国中国の変革、進歩 に対する期待は、この現実の前に、「アジアの解放」の理念を媒介項として、ついには「日本の改造」へと行きついていく。戦前の日本において、いわば「アジ ア」の立場から、多少とも中国の変革にかかわろうとした人たちの中で、この回路をよく脱出しえた人物は―尾崎秀美のようにナショナリズムとインターナショ ナリズムのはざまへ向けて思い切った跳躍を試みた場合を除いては―ほとんど見当たらない。それは、近代の日中関係を強固に規定した一つの磁場であり、ある いはまた運命的な呪縛でもあった。
〈目次〉
近代日本における国民的使命観・その諸類型と特質―大隈重信・内村鑑三・北一輝
近代日本の中国認識―「大陸問題」のイメージと実態
「アジア」への航跡―宮崎滔天の思想と行動
橘樸―アジア主義の彷徨
4・6判 308頁 1981年4月発行 ISBN4-87636-017-0
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